一方、100万人あまりの身体測定データを調べた結果では、ネアンデルタール人由来の受容体を持つ成人は、持たない成人と比べて、筋肉量が平均で約270グラム多いことが分かった。
その作用は成長の過程で表れる。子供約6000人の調査では、ネアンデルタール人由来の変異と11歳になるまでの成長の間に関係は認められず、成長ホルモンの分泌が急増する思春期に影響が表れることを示唆していた。
骨格にもわずかな違いがあった。この遺伝子を持つ人は、下あごの後ろ部分がやや短く、歯根も短い傾向があった。いずれの特徴も、現代人よりもがっしりしていて筋肉質で、眉が突き出たネアンデルタール人の特徴に近い。
ゼーベリは本誌にこう語った。「ネアンデルタール人の成長ホルモン受容体変異が細胞内のシグナル伝達を増大させ、遺伝子コピーあたり約270グラムの筋肉量増大に関連していることを、我々の研究は示唆している。つまり、両方の親からコピーを受け継いだ人は、筋肉量が約500グラム多くなる可能性がある。ただし、この変異は当然ながら、トレーニングの代わりにはならない」
論文共同筆者のミリアム・ベライターも、ネアンデルタール人の遺伝子が筋トレの近道になるわけではないとくぎを刺す。
「私もクロスフィットのトレーニングをしているので、ネアンデルタールの遺伝子と筋肉量が同じ研究で結び付けられたことは嬉しい」「それでもネアンデルタールの成長ホルモン受容体は、トレーニングの代わりにはならない」
【参考文献】
Zeberg, H., Berreiter, M., Kanis, P., et al. (2026). Increased signaling of the Neanderthal growth hormone receptor. Current Biology. https://doi.org/10.1016/j.cub.2026.07.025.
エヴァンゲリオンから聖闘士星矢、クレヨンしんちゃんまで、世界が愛する作品を各国筆者が一挙紹介