Gergely Szakacs Michael Kahn

[ブダペスト/プラハ 2日 ロイター] - ハンガリーでは、5月に誕生した新政権が縁故主義の一掃に動いており、オルバン前首相との関係をテコに企業グループを築いてきた企業や実業家が小規模な事業への転換を急いでいる。

ロイターは元政府高官、企業関係者、アナリストら約12人に取材。それによると、オルバン氏の側近だった富豪たちは、4月の選挙に勝利してオルバン氏による16年間の統治に終止符を打ったマジャル新首相のもとで事業運営の見直しを進めているという。アナリストらは具体的な企業名を挙げなかったものの、一部の企業は新時代を生き残れない可能性が高いと述べた。

ハンガリー最大級の建設会社マーケット・エピトの創業者兼最高経営責任者(CEO)、サンドル・シェール氏は「我は適応しなければならず、実際に適応する」と語った。同社はオルバン氏の盟友で実業家のイシュトバーン・ガランチ氏と関係があり、有名サッカースタジアムを含む公共事業の契約から売上高の4分の1を生み出してきた。

同氏は「我々は、大規模事業に代わって小規模事業が増え、住宅・インフラ建設が主流となる変化に備えている」と述べた。

こうした戦略転換は、過去数十年で最大規模となるハンガリー企業界の大再編の一端だ。オルバン氏と関係があるとみなされる企業の株価は打撃を受けている。一方で、外国企業の投資を促す可能性がある、より競争的な事業環境も生まれつつある。

アナリストによると、最もリスクが高いのは、公共インフラ調達に依存してきた企業だ。今後は政府資金の配分を巡り、新規参入企業と競争することになる。

ベルリンの欧州政治研究所副所長、ダニエル・ヘゲデュシュ氏は「旧政権のネットワークの一部だった建設・道路建設会社は、契約が他社に回るため、1、2年で姿を消すだろう」と指摘した。

前出のマーケット・エピトは、30年にわたる事業の実績と財務基盤の強さは政治サイクルに左右されるものではなく、多角化されたポートフォリオが同社の安定性を支えていると述べている。

<オルバン氏支援者ら「恐れていない」>

オルバン政権下では、同氏に近い実業家らが国の支出や公共入札、有利な規制への優先的なアクセスを背景に、ハンガリー企業界全体で企業の買収や事業拡大を進めてきた。

経済協力開発機構(OECD)が2024年に実施した調査では、ハンガリーでは、単独応札による公共調達手続きの比率が高いことが示された。欧州連合(EU)は、凍結中のEU資金の解除に向けた広範な条件の一環として、市場競争を改善するための改革を勧告していた。

ハンガリーの反汚職シンクタンクCRCBが4月の選挙直前に発表した調査によると、公共調達において「政治的なえこひいきの明確な証拠」がみられるという。

地滑り的勝利でオルバン氏を退けたマジャル新首相は、公共資金の使途の透明化を求めるEUの要請を満たすことを目指し、6月に包括的な汚職防止法案を議会に提出した。

マジャル政権はコメントの要請に応じなかった。

刷新のさらなる兆しとして、ハンガリー議会は7月13日、マジャル氏がオルバン前首相の「操り人形」と呼ぶシュヨク大統領の解任を可能にする憲法改正を承認した。シュヨク氏は、自身に政治的な意図はないとしている。

オルバン氏の退陣は、市場に顕著な影響を与えた。

建設・エネルギー複合企業オプス・グローバル、不動産開発会社アペニン、通信会社4iG、MBH銀行といったオルバン氏との政治的な関係が指摘されてきた企業は、投資家が政権との近さを織り込んだプレミアムが剥落したため、株価が急落し、ブダペスト株式市場全体の上昇に逆行している。マジャル氏は建設、防衛、メディアなどの分野で契約を見直すと表明しており、市場では同氏の下で市場寄りの環境が整うとの期待が広がっている。

ドゥナ・アスファルトはオルバン氏率いるフィデス党前政権下で、億万長者のオーナー、ラースロー・シジ氏がハンガリー有数の道路建設会社として成長させた会社だ。同社はロイターの質問に対する声明で、「当社は1990年以前から、国際的な企業が支配する市場で競争してきた」とし、「こうした環境には慣れており、恐れてはいない」と述べた。

<消える企業も>

オルバン前政権下で決まった支出計画を見直す一環として、マジャル政権はハンガリー南部の高速道路延伸工事を凍結し、ドゥナ・アスファルトに対し、選挙前に同事業向けに受け取った資金を返還するよう求めた。同社は、高速道路契約に関する追加コメントの要請に応じなかった。

4iGは電子メールで、オルバン政権下で優遇措置を受けたとの指摘を否定した。ハンガリー第2位の銀行であるMBH銀行は、自社の業務はハンガリーおよびEUの公共調達法に厳密に準拠していると述べた。

オプス・グローバルとアペニンは、ロイターのコメント要請にすぐには応じなかった。

ユーラシア・グループのアナリスト、オルショヤ・ラーツォバ氏は、入札の透明性が高まれば、国際企業にとって市場参入の余地が広がり、オルバン氏と関係の深い一部企業が締め出される可能性があると指摘。「大きな変化が起きるとみており、こうした企業の一部は姿を消すだろう」と述べた。

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