はやぶさ2はもともとランデブーのための探査機であり、カメラなどもほぼ静止した状態で撮影する前提で作られていた。打ち上げ後は機材(ハード)を新たに積めないため、トリフネの観測はフライバイに対応できるようなソフト開発を短期間で行って乗り切った。

日本時間7月5日18時30分00に設定された最接近時刻に対し、実際は18時30分00.31±0.03秒、目標地点からのズレは120メートルだった。電波光学複合航法(探査機搭載の光学航法カメラで小惑星の位置を計測したデータと、地上基地局と探査機の電波のやりとりのデータとを組み合わせた航法)と、新たに開発したオンボード航法誘導ソフトウエアによる制御を行い、ほぼ計画通りのフライバイ探査を行うことができた。

JAXAによれば、小惑星フライバイのこれまでの最接近記録は、中国の探査機「嫦娥(じょうが)2号」が12年に達成した中心から約1451メートル、表面から約770メートルだった。今回のはやぶさ2によるトリフネ・フライバイは、いずれも上回った。

4.世界初の成果2:フライバイでのLIDAR測距の成功

今回、特記すべき成果には「小惑星フライバイとしては世界初のLIDARによる測距成功」も挙げられる。

LIDARを使えば、小惑星が暗くて見えない(接近が太陽光の当たっている面からではない)場合でも測距することができ、日照条件によらずに探査できるようになる。小惑星から発せられる情報を受け取るだけではなく、探査機側から小惑星に働きかけて情報を取得する「アクティブな探査」の可能性を示したことに意義があるという。

JAXAによると、はやぶさ2はトリフネ最接近の約4秒前と約3秒前にあたる18時29分56.5秒と57.5秒、それぞれ約20キロと約15キロの距離でレーザーの反射光を合計2回検出することに成功した。照射範囲は1回目が直径約30メートル、2回目が約23メートルという狭さだった。

秒速約5.3キロの高速で移動する探査機から、小さなトリフネにレーザーを当てることの難しさを、JAXA宇宙科学研究所の吉川真准教授は「疾走する馬から的を射抜く流鏑馬(やぶさめ)のようなことができ、本当に画期的だ」と説明している。

トリフネはどんな小惑星か
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