Anirban Sen

[ニューヨーク 28日 ロイター] - 世界のヘッジファンド業界は、人工知能(AI)関連銘柄の上昇を追い風に2026年上期の運用成績が好調で、25年の実績を上回る過去最高水準の年間リターン達成に向けて順調な軌道を進んでいる。ロイターが確認したゴールドマン・サックスの顧客向けリポートで明らかになった。

リポートによると、ヘッジファンドの26年上期の平均リターンは7.0%で、過去10年平均の4.1%を大きく上回った。上期リターンが7%を超えたのは、コロナ禍で市場変動が拡大した20年と21年の2回だけ。ヘッジファンドの運用成績が長期平均を上回るのは6期連続となった。

ゴールドマンは「ヘッジファンドはここ数年のAI関連投資の流れにうまく対応してきた。AIブームの『つるはしとシャベル』に当たる関連分野への投資を機動的に移し、半導体から電力・データセンター、そして過去12カ月ではメモリー株へと大きくシフトした」と分析した。

投資家からの資金流入も拡大している。ヘッジファンドに総額1兆5000億ドル超を投資する341の機関投資家を対象とした今月の調査では、約半数が26年下期にヘッジファンドへの配分を増やす方針を示した。一方、配分を減らすと回答したのは3%にとどまった。

ゴールドマンによると、ヘッジファンドへの純需要は過去最高を更新し、オルタナティブ投資全体の中でも他資産を大きく上回る水準となっている。

調査では、機関投資家のヘッジファンド・ポートフォリオの平均リターンは上期に7.3%、ファミリーオフィスやプライベートバンクを含むプライベート資本投資家では8.8%だった。

また主要なヘッジファンド戦略は全て上期に純資金流入を記録した。これは過去5年で初めて。クオンツ(数量分析)ファンドへの資金流入が引き続き堅調だったほか、マルチ戦略ファンドは5年ぶりの高水準の流入を記録した。

一方、プライベートクレジット市場への投資配分は減少傾向が続いている。投資家が貸し手の損失発生を受けて業界の健全性に懸念を強めているためで、ヘッジファンド投資家の約22%が配分削減を計画している。プライベートバンクでは約4割が投資縮小を検討しているという。

ヘッジファンド業界は伝統的な「60/40」ポートフォリオも上回る成績を維持している。ゴールドマンによると、過去5年間でヘッジファンドは株式60%、債券40%で構成される同ポートフォリオを年率平均2.5ポイント上回った。市場平均を超える超過収益(アルファ)を獲得しやすい環境が続いていることが背景だ。

戦略別では、株式ロング・ショート型ファンドが上期平均12.9%の高リターンを記録した。個別銘柄間のパフォーマンス格差が拡大し、銘柄選択による収益機会が増加したことが寄与した。

ゴールドマンは「株式ロング・ショート型ファンドは26年上期終了時点で、既に25年の過去最高アルファを上回った。個別銘柄のボラティリティー上昇と相関低下が追い風となっている」と指摘した。

AI関連投資の恩恵を受け、テクノロジー・メディア・通信(TMT)特化型ファンドや消費関連ファンドも前年同期比でリターンをほぼ倍増させた。

株式運用型ヘッジファンドも混雑した取引環境への対応に成功し、6月末時点で年初来リターンが2桁台に達した。

一方で裁量型マクロ戦略は例外的に苦戦した。イランでの紛争を巡る金利変動による損失が重荷となり、多くの運用会社がなお損失を回復できていない。クオンツ戦略を採用する運用会社も、厳しいマクロ経済環境の影響で収益が圧迫されたという。

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