アメリカとイスラエルが2月末、イランを先制攻撃し最高指導者アリ・ハメネイを殺害して始まったイラン戦争は世界経済、とりわけ原油市場を大混乱に陥れてきた。

イランがホルムズ海峡の封鎖を発表して、イランのみならずペルシャ湾岸諸国から世界各地に向かう石油タンカーなどの商船に足止めを食らわせたかと思えば、ドナルド・トランプ米大統領が「逆海上封鎖」を宣言して、イランを兵糧攻めにしようとした。

それだけに6月17日にアメリカとイランの間で戦闘終結に向けた覚書が署名され、即時発効したときは世界中の国が胸をなで下ろしたものだ。

ところがそれから1カ月もたたないうちに、イランがホルムズ海峡を航行中の商船を爆撃。それに対してアメリカが報復攻撃を実施して、停戦は事実上崩壊した。

一体、これからどうなるのか──。残念ながら、その答えは誰にも分からない。

トランプが覚書に署名した最大の理由は、世界的な海運の要衝であるホルムズ海峡を開放するとともに、イランの戦略にほとんど影響を与えられなかった爆撃を終わらせることだった。

だが今、トランプによれば、停戦は「終わった」ようだ。14項目の覚書の主要な部分は崩壊し、原油価格は再び上昇に転じた。そしてイランの現体制は、以前にも増して強硬になったように見える。

「覚書がいずれ試されることになるのは、誰もが予想していた。その時期が予想より早くなっただけだ」と、ヨーロッパ外交評議会のエリー・ギャランマイア中東・北アフリカ研究部副部長は語る。

イランは原油価格上昇に助けられる?
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