──最後に、『戦後敗戦』は日本軍の敗北の原因を研究した『失敗の本質』の戦後版であると同時に、日本再生への提言の書でもある。日本は次の敗戦を避けるために、今後10年で何を最優先すべきか。

国家目標を明確に示す必要がある。その中で、まず政府として国家ビジョンを示すことだ。明治時代の「富国強兵」「殖産興業」という四文字のスローガンは、なかなかのものだった。最近、そういうスローガンが本当になくなった。「経済大国」以外に何があったのだろうかと思う。

戦後の「平和国家」も重要な国家ビジョンである。ただ、ここは注意が必要だ。特権的で例外的な「アメリカ帝国」の下での平和だったという冷厳な背景を見据えておく必要がある。

国際政治学者のジョン・ルイス・ギャディスは、1986年の論文で戦後の冷戦期を「長い平和」と呼んだ。それは冷戦故の「長い平和」でもあったのだ。今、それが音を立てて崩れている。「国民安全保障国家」と「企業家国家」という2つの国家ビジョンを、この本の中で提示したゆえんでもある。

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船橋洋一
KEIDANREN

船橋洋一(ふなばし・よういち)
1944年北京生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、主筆などを歴任。現在は国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン(写真提供=経団連)

船橋洋一が語る日本「失敗の本質」(インタビュー動画後編)
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