Kate Abnett

[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)が石油や天然ガスへの依存を減らして経済全体の電化を促進するため、新たな政策と予算措置を導入する方針だ。ロイターが9日にEU欧州委員会の草案内容を確認して分かった。

草案によると、EUは2040年までに経済全体のエネルギー消費に占める電力の割合について最低目標を設定する計画。具体的な数値は盛り込まれていないが、欧州委が17日に正式提案を公表する予定だ。

今回の方針は、イランを巡る戦争の影響でエネルギー価格が上昇したことへの対応策の一環。EUのデータでは、戦争の影響によって2月下旬以降、EUの石油・ガス輸入費用は約500億ユーロ(571億1000万ドル)も増加した。

電化推進では、ガソリン車やディーゼル車から電気自動車(EV)への移行を加速するほか、家庭用ガスボイラーをヒートポンプに置き換え、産業分野でも化石燃料を使う炉から電気炉への転換を促す。

欧州委は、電化技術の導入時にかかる高額な初期費用を軽減するための支援策を検討する考え。公共調達ルールの見直しの一環として公共施設へのヒートポンプ設置を義務付ける案や、EVの調達目標を強化する案が含まれている。

また加盟国が家庭用蓄電池やEV、ヒートポンプに対する付加価値税(VAT)の税率を引き下げられる枠組みを提案するほか、再生可能エネルギーや電力を利用して熱を生み出す産業プロジェクト向けのEU予算による入札制度を年内に開始する。

さらに化石燃料補助金を段階的に廃止する措置も年内に提案する方針で、電力の価格競争力を石油や天然ガスに対して高める狙いがある。

草案は「地政学的な混乱と市場変動が繰り返される時代において、クリーンで豊富かつ域内で確保可能な安価なエネルギーによって支えられるエネルギー自立は主権の問題だ。需要側の効率的な電化に向けた抜本的な転換が必要だ」と強調している。

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