しかし北海道は広大なので、施設の屋内プールへのアクセスという点ではなかなか大変そうだ。北海道の公共・民間スポーツ施設の屋内プール数は297で、可住面積は2万2691平方キロメートル。割り算をすると、76.3平方キロメートルの土地に1つの屋内プールがある。これの平方根をとって、およそ8.7キロ四方の土地にプールが1つあることになる。長くてバスで40分ほどかかる計算だ。

<表2>は、同じやり方で屋内プールの存在密度を都道府県別に計算したものだが、地域によってかなり違うことが分かる。密度が低い県だと8キロ四方の土地に1つという計算で、上述のように長くてバスで40分ほどかかる。こうなると、1日とって水泳の授業を数時間まとめて行うこととなる。

対して東京都や神奈川県の都市部では、1.6~2.0キロ四方の土地に1つのプールがある計算で、アクセスはいい。バスで数分だ。移動に時間がかからず、午後の時間帯を充てるだけで足りるだろう。

熱中症の心配なし、専門家による充実した指導、コスト削減。学校外と連携することで、多くのメリットを引き出せる。公立中学校の部活動も段階的に地域に移行しているが、教育を行う場は学校だけではない。学校外とも手を携え、教育の効果を高めていくべきだ。そのために必要な資源は、地域差はあるものの冷静に見渡せば近くに転がっている。

教育・学習支援産業(学校、学習塾を除く)に従事する者は59万5060人(「国勢調査」2020年)。この数は、同年の公立中学校生徒(294万1423人)の2割に相当する。東京都だと4割近くだ。こういう地域人材を組織化し、部活動に代わる地域スポーツクラブの指導を委ねてもいい。

教育を支えてくれる地域資源の量・分布をきちんと可視化できているか。この問いに「イエス」と答えられる自治体は、まだそう多くはないだろう。

<資料>
スポーツ庁「体育・スポーツ施設現況調査」(2024年度)

【チャート】公立・民間の屋内プール1つあたりの公立小学校児童数(都道府県別)
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