専門家によると、船舶とクジラの衝突を減らすための対策は驚くほど単純だ。船が速度を落とせば、衝突の確率も、衝突が起きた場合にクジラが重傷を負う確率も大幅に減ることが調査で示されている。

「船舶との衝突リスクを減らせる実証済みの方法は2つある。減速することと、航路を変更してクジラの生息域を避けることだ」とブローガンは言う。

例えばアメリカ東海岸では、絶滅の危機に瀕しているタイセイヨウセミクジラを保護するため、船舶に対して時速10ノット以下での航行を義務付けている海域がある。この対策により、衝突して死ぬクジラが減ることは実証済みだ。

音響センサーとリアルタイムのデータを使ってクジラが近くにいることを船舶に知らせるシステムも開発されているが、ブローガンによると、まだ広く普及するには至っていない。

クルーズ船が絡む今回の出来事は厳しい現実を見せつけた。船舶とクジラの衝突は単発的な事故ではなく、現代のグローバルエコノミーに関係する構造的な問題だ。船舶の交通量が増えて混雑が激しくなる中で、保護対策を強化しなければ、犠牲になるクジラの数は増え続けるだろうと専門家は警告する。そしてその大部分は、波の下に隠れて人の目には見えない。

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