[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が30日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と、前月の50.0から上昇し、景気拡大と縮小の分岐点となる50を上回った。半導体やコンピューターなど人工知能(AI)関連製品への需要が押し上げ要因となり、堅調な輸出受注と、関税発動を前にした米国向けの駆け込み出荷が、他分野の弱さを相殺した。
今回のデータは、中東紛争による混乱や長引く不動産不況が全般的な成長を圧迫する中でも、世界的なAI投資が中国の製造業にとって重要な支えとなっていることを示している。
製造業PMIはロイター調査の予想中央値(50.1)も上回った。
コンサルティング会社ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は「半導体などAI関連製品の国際需要を満たすための輸出に加え、7月下旬に発動される新たな米通商法301条に基づく関税を前にした駆け込みや、上流コスト低下による国内需要の改善が、今回の上昇を支えた」と述べた。
同氏はまた、過去1カ月で国内のインフラ事業の件数も増加したと指摘した。
新規輸出受注指数は50.1と前月の48.6から上昇し、拡大圏に回帰した。生産指数は51.2から51.4に、新規受注全体の指数は49.9から51.2に、それぞれ小幅に上昇した。
ただ、出荷価格の指数は5カ月連続で50を上回った後、5月の51.9から48.2に低下。雇用も引き続き低下傾向にある。
ロイター調査で最も高い予想値の50.4を見込んでいたエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のシニアエコノミスト、徐天辰氏は「世界的なAI投資需要に支えられ、輸出の堅調さは続く見通しだ。さらなる政策緩和も実施されるだろう」と指摘。
「財政支出は予算編成に後れを取っており、今後数カ月で加速するはずだ。金融緩和の余地もある」と述べた。
サービス業と建設業を含む非製造業PMIは5月の50.1から50.2に上昇し、総合PMIは前月の50.5から50.6に改善した。
<AIブームかバブルか>
中国では不動産市場や雇用、個人消費の低迷が引き続き成長の重しとなっており、工業製品に対する世界的な需要に依存せざるを得ない状況にある。
データセンターや先端電子機器に使われる半導体には世界的に旺盛な需要があり、中国の製造業の強みが発揮されている。
ただ、他の分野では需要は乏しいもようだ。5月の貿易統計によると、自動データ処理装置の輸出額が前年同月比60%急増した一方、家具は1.9%の増加にとどまった。
キャピタル・エコノミクスの中国経済責任者ジュリアン・エバンズプリチャード氏も、景況改善が「依然として輸出とAI関連ハイテク製品に大きく依存している」との認識を示し、「活動の改善にもかかわらず、製造業セクターはデフレに逆戻りしつつあるようだ」と指摘した。