中国は昨年8月、AI(人工知能)の社会全般への普及を目指す「AIプラス」指針を発表し、2030年までに次世代情報端末やAIエージェントの普及率を90%に引き上げる大胆な目標を打ち出した。政府が補助金を出すだけでなく、AI導入推進を法制化する意向だ。

EU諸国がいまだ規制の議論に明け暮れる一方で、アジアの国々はAI普及に向けて一気にアクセルを踏んでいる。

韓国は今年1月、AIの統治・産業振興・リスク管理を盛り込んだ世界初の包括的なAI基本法を施行し、26年度のAI関連予算を前年比3倍の10兆1000億ウォン(約66億ドル)に増額した。EUが重視する「まず規制する」アプローチを取りつつも、並行して巨額の資金を投入している。

一方で日本は、24年時点の国民の生成AI利用率が26.7%と、アメリカや中国の半分以下で大きく出遅れていた。日本政府はこれを将来的に80%に、また民間の研究開発投資を約1兆円(約64億ドル)に引き上げる目標を掲げる。NTTやソフトバンクも大型投資を表明し、官民一体で巻き返しを図ろうとしている。

インドは、最先端の計算環境(GPU)を世界最安値レベルで利用できる公共インフラとして提供する独自の戦略を進める。シンガポールはAI人材を3倍に増やし、国内70以上の企業でAI活用モデルを定着させた。

これらアジア諸国に比べると、EUの「デジタルの10年」計画は生ぬるい。EU企業全体のAI導入率を30年までに75%に引き上げる目標だが、達成は40年になる見通しだ。

「デジタルの10年」が終わる30年に中国のAI導入率が90%に達する一方で、EUが30~40%で足踏みしていれば、どれほど立派な規制があってもその格差は埋められない。そして、AIがもたらす生産性向上の「果実」は他の国々の手に渡ることになる。

From thediplomat.com
 

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