ノスタルジアがあなたを旅にいざなうとき、魔法のような現象が起きる。

セコイアの巨木が立ち並ぶ道路を何時間も車を走らせ、小さな街に到着したあなたは、入場料を払って何百人もの見知らぬ人たちと週末を過ごすことになる。

その見知らぬ人たちは、あなたと同様に1980年代のドラマで毎週難事件を解決していた初老の女性に特別な感情を抱く、いわば同志だ。

一見すると「ごく普通のおばさん」なのに、実は周囲をうならせる鋭い頭脳の持ち主。そんな女性が活躍する推理ドラマが今、再び注目を集めている。もっとも、『ジェシカおばさんの事件簿』(原題は『マーダー・シー・ロート』)の熱狂的なファンにとって、「ジェシカ・ブーム」は今に始まった現象ではない。ファンは地上波での放送終了後も、ケーブルテレビやネット配信でずっとこのドラマを視聴し続けてきたのだから。

「困難な時代には、殺人ミステリーが人気を呼ぶ」と話すのは、オーストラリア出身でイギリス在住の劇作家・パフォーマーのティム・ベンジーだ。彼はカリフォルニア州メンドシノで開催される『マーダー・シー・ロート・フェスティバル』で毎回、番組にちなんだコミカルな推理ショーを演じている。

今年で3回目を迎えたこのフェスティバルは、ベンジーの言うとおり、まさに今の時代のニーズに合ったイベントだ。全米から集まるのは、12シーズンにわたって放映されたCBSのこの人気ドラマの熱烈なファンたち。

キーワードは「安らぎ」
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