<米国株の最高値更新が続くが、日本銀行はどう動くか。日本経済の状態とインフレリスクを見誤ってはいけない>

3月17日掲載のコラム「原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右するもの」において、イラン戦争が長期化せず、米経済の高成長が続くとの見通しを述べた。

米国とイランとの終戦交渉は長引いているが、ドナルド・トランプ米大統領によるTACO(Trump Always Chickens Out/トランプはいつも怖気づく)を早期に見抜いた投資家が多く、米株式市場は4月初旬から反転し、5月にはS&P500指数などが最高値更新を続けている。

停戦合意の動きが報じられた5月27日には、原油価格(WTI先物価格)は90ドル以下に下落して、その後米国株は一段高となり、最高値を更新した。

筆者を含めた多くの市場参加者の見立てどおりであれば、3月以降の中東情勢の緊迫化が、米国を中心とした世界経済に及ぼす影響は限定的にとどまるとみられる。

中東情勢の報道に反応し原油価格に連動する形で株式市場も上下しているが、金融市場はいずれ中東情勢を材料視しなくなるだろう。アジア諸国の原油不足でサプライチェーンの混乱が世界的に広がれば、株価下落をもたらすだろうが、そうした事態に至る前にホルムズ海峡は正常化に向かうとみられる。

こうした中で、日本銀行はどう動くか。

4月会合では政策金利は据え置かれたが、審議委員9人のうち3人が利上げを主張して反対した。植田和男総裁らが現状維持を決めた主たる理由は、中東情勢の緊迫化によって経済・インフレの先行きが相当不透明になったことだが、この判断は妥当だったと筆者は考えている。

6月15~16日に行われる金融政策決定会合の時点で、金融市場の見立てどおりにホルムズ海峡の再開が見通せるようになれば、追加利上げを主張する審議委員の意見に追随して、植田総裁ら執行部は利上げを行うかもしれない。

日本の「実質金利が低すぎる」は本当か
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