ベッセント米財務長官が5月12日に来日し、高市首相や片山財務相と会談してその足で訪韓、続いて北京でトランプ大統領一行に合流した。トランプが訪中途上、日本に寄れなかったことの埋め合わせだろうが、それに加えてベッセントは米経済全体の安定に目を配る立場にある。

今年後半には、計5兆ドルにも及び得る短中期国債の借り換えと、赤字補塡のための新規国債発行が控える。中間選挙も迫り、トランプ政権の正念場を迎えて、アメリカは長期金利の上昇だけは防ぎたい。この際、財政・金融政策をめぐる日本側の本音を確かめ、米金融市場に悪影響を及ぼさぬよう、クギを刺しておこうというのが、訪日の真の目的だったのだろう。

彼としては、日銀の低金利政策による「円キャリートレード」(米投資家は低利の円を借りてドルに転換し、これを投機的高利商品に投資して利益を上げる)の助長で米金融市場が不安定化するのを緩和したい。また、日本の積極財政は国債価格の急落と長期金利水準の上昇を招き、米金融市場を乱すので、そのことへの高市政権の理解度を確かめておきたいというわけだ。

明治の日露戦争以来、日本とアメリカは資金の太い流れで結び付いてきた。米金融資本に戦時国債を引き受けてもらうことで日露戦争を乗り切って以来、日本は、第1次大戦前後の工業化、関東大震災からの復興国債の消化などで、アメリカから一貫して多額の融資を受けていた。

しかし満州事変が起き、同時期に知米派の政治家が相次いで暗殺されたことで、アメリカの知日派は日本を見限り、太平洋戦争へと突き進む。アメリカが支えになっているのを知らず、これに敵対した夜郎自大ぶりが日本を滅ぼしたのだ。

日本の尊大ぶりは「プチ戦前」

そして今は、日本が米国債を買い支え、円キャリートレードが米金融市場に資金をもたらす時代だ。カネの流れは逆となり、日本の動きは米金融市場を大きく動かし、それはまたアメリカの景気を左右して、日本の対米輸出を動かす。この相互依存ぶりを十分認識せず、自分の都合だけで突っ走るのは、「プチ戦前」とも言える状況だ。

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【note限定公開記事】高市政権に求められるのはバラマキではない──経済の「総ドブざらい」で令和維新を

 

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