熱狂の中で生まれた勝利の方程式
レーガンはといえば、陣営内でさえ勝利を危ぶむ声が上がっていた。極右団体ジョン・バーチ協会との結び付きを命取りとみる者もいた。
レーガン陣営を指揮した政治コンサルタントのスチュアート・スペンサーとビル・ロバーツは保守層に響くイデオロギーを保ちつつも過激な主張を和らげ、テレビ映えのするイメージをつくり上げた。この2人を推薦したのは、ゴールドウォーターだった。
古巣ハリウッドからも、ジョン・ウェインやジェームズ・スチュワートらの大スターが支持を表明した。
レーガンが65%の得票率で予備選に圧勝すると、全米に衝撃が走った。直後にはテキサスのオースティン・ステーツマン紙が、「レーガンを68年の大統領選に擁立する動きが始まっている」と報じた。ドワイト・アイゼンハワー元大統領もレーガンと会談し、支持を表明した。
レーガンがゴールドウォーターの継承者なのは明白だった。そこでレーガン陣営は「州都の知的エリート集団」が労働者・中産階級を脅かしているという言説を前面に出し、強硬右派のイメージを和らげた。本選挙でもレーガンはこの戦略を踏襲した。
歴史学者マシュー・ダレックは著書『ザ・ライト・モーメント』(未邦訳)で、レーガンは「60年代のリベラル政策と社会の混乱を結び付けることに成功した」と指摘した。
「レーガン革命は長く続いた。熱狂の中で生まれた勝利の方程式──社会秩序と個人の自由を重んじ、政府の干渉に反対する──が長年、共和党支持者を引き付けたのだ」
次のページ