米コロラド州のデンバー国際空港で5月8日に発生したフロンティア航空4345便の事故で改めて明らかになったことの一つは、「飛行機から緊急避難する際に乗客が荷物を持ち出そうとすることの危険性」だった。事故当時の機内映像や報告書では、乗客が荷物を取りに戻る様子が確認できる。

■【動画】90秒で3人が逃げ遅れ…飛行機から避難時に「荷物を取り出す」は絶対NG、動画が示す「身勝手の代償」

今回の事故はエアバスA321型機が離陸しようとした際、滑走路上に徒歩で侵入した人物と衝突し、離陸を中止したもの。機内で煙の発生が報告されたため、「予防措置として」避難が指示されたという。

現場の光景は、航空安全の専門家にとっては見慣れたものだった。客室乗務員が「荷物はすべて置いてください。命の方が大切です」と乗客に訴える一方、それでも荷物を抱えて緊急脱出用スライドを降りる人々の姿も確認された

「これは長年の大きな課題だ」と、英グリニッジ大学の火災安全工学グループ責任者で、航空機の避難行動に関する第一人者であるエド・ガレア教授は本誌に語った。「今回のフロンティア航空の事故も例外ではない。事実として、頻繁に起きていることだ」

ガレアによると、こうした人々の多くは自身の行動がいかに重大な危険を招くものか自覚していないという。「人々は『ほんの一瞬なのだから、このバッグだけ取ろう』と考える」「それがどれほど大きな影響を及ぼすかを理解していない」

煙や火災を伴う緊急事態の場合、その数秒が極めて重要になる。そして危険にさらされるのは、荷物を取り出した本人だけではなく、その後ろに続く全員だ。「1人が遅れるのではない」とガレアは言う。「100人以上の避難を遅らせる可能性がある。そして、より多くの人が同じ行動をすればするほど、影響は複合的に拡大していく」

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