90秒後には3人多く機内に取り残される計算
ガレアの研究チームは2024年、米連邦航空局(FAA)の資金提供を受けて小型機における避難のシミュレーション分析を行った。その結果、乗客の25%が荷物を取り出すために短時間だけ立ち止まった場合は90秒後の時点で、全員が荷物を取らなかった場合に比べて3人多く機内に取り残されていたという。
「3人の死亡につながる可能性があるということだ」と、ガレアは言う。
実際、過去の事故においても同様の結論が示されている。2019年にモスクワのシェレメチェボ空港で発生した火災事故では、乗客が手荷物を取り出そうとしたことで避難が遅れ、被害を悪化させた可能性が高いと結論づけられた。この事故では、火災により乗客40人と客室乗務員1人が死亡した。
ガレアは、こうした行動は近年になってさらに一般的になってきているとし、その背景には旅行スタイルの変化があると指摘する。「人々は以前より多くの荷物を機内に持ち込むようになっている」
「たとえノートPCが入っていようと、持ち込み荷物は自分の命や他人の命に値するほどのものではない」と、ガレアは言う。パスポートや薬など「必需品」の存在を盾にこうした行動を正当化する人も多いが、ガレアは「本当に必要な物なら、身につけておくか、座席下の小さなバッグに入れておくべきだ」と指摘する。
「座席の下から物を取るのなら、通路を塞がない。自分の命を危険にさらす可能性はあっても、他人を危険に巻き込むことはない」