白人と非白人の居住区を定めたアパルトヘイト(人種隔離政策)が終結してから30年以上を経てもなお、世界最大級の不平等社会が続く南アフリカ。一部の富裕層が欧州の都市に匹敵する快適な生活を享受する一方で、人口の半数以上は食料や最低限の生活必需品すら確保できない暮らしを強いられている。貧困と失業が蔓延し、殺人事件の発生率は世界トップレベルにある。

そんな格差を象徴するかのように、同国第2の都市ケープタウンを中心に急成長を遂げているのが高級ペットホテル産業だ。市内には贅を尽くしたペット向けの宿泊・娯楽施設が次々に誕生し、シャンデリアやテレビを備えたスイートルームが人気を博している。「犬用シャンパン」から特注のおやつまで至れり尽くせりのサービスが並び、スパでは美容と健康に配慮したさまざまなメニューが準備されている。

こうした施設の経営者はペットと飼い主に喜ばれるだけでなく、地域に雇用を生み、政府に税収をもたらしていると主張する。だが動物たちの幸せそうな姿は、根深い社会の分断と政治の失敗もいや応なく突き付けている。

撮影:トミー・トレンチャード ウガンダの首都カンパラと南アフリカのケープタウンを拠点とする英国人ドキュメンタリー写真家兼ライター。アフリカの政治、経 済、文化、環境問題のほか、イラクの紛争などを幅広く取材し、英ガーディアン紙、米ニューヨーク・タイムズ紙などの主要紙に写真と記事を発表している

Photographs by Tommy Trenchard-Panos

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