「軍事費が増える一方、社会保障費は5兆円以上削減」

 二〇二四年二月一九日に開かれた有識者会議の初会合では、榊原座長が「円安や物価高などを踏まえ、防衛費のさらなる増額を検討するよう提起した」という(『東京新聞』二〇二四年三月五日朝刊)。

 岸田政権は「安保三文書」にもとづき、二〇二三〜二七年度の五年間の軍事費(防衛費)を計四三兆円ほどに増やす方針で大軍拡を進めたが、前出の榊原座長の問題提起は、それでは足りないということだ。(90ページより)

「円安や物価高などを踏まえ、防衛費のさらなる増額を」という文言の背景には、“その影響で防衛装備品の購入費が高騰したから、43兆円では足りない”という理屈があるようだ。しかしそれは、日々の生活に苦しむ市民にはとうてい理解できないだろう。

むしろ説得力を持つのは、中央社会保障推進協議会(以下、中央社保協)の林信吾事務局長による主張である。

「いま日本社会に必要なのは、軍事費の拡大ではなく社会保障の拡充です。多くの労働者の実質賃金が低迷し、物価高騰が国民生活を直撃しています。大企業や富裕層の優遇税制を進め、大型開発や軍事費に莫大な税金をそそぎこむ一方で、国民健康保険料や介護保険料は国庫負担の削減などで値上げが続いています。税負担額と社会保障負担額の合計である国民負担率は四六・八パーセント〔二〇二三年度見通し〕にも達します。後期高齢者医療費の窓口二割負担は受診抑制を招き、マクロ経済スライドで年金支給額は減らされ、生活保護費も削減されるなど、国民生活は負担を強いられています。二〇一二年の第二次安倍政権から続く一一年間で、軍事費は増える一方、社会保障予算は自然増分をふくめて五兆円以上が削減されました」(99ページより)

憲法第9条と第25条は「いわば車の両輪」
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