移民関税執行局(ICE)の捜査官に拘束されたエクアドル出身の男性と、彼にすがりつく娘たち。その姿を捉えた『ICEに引き裂かれて』が第69回世界報道写真コンテストの大賞に選ばれた。
オランダの世界報道写真財団が主催するこのコンテストは、前年に発表された報道・ドキュメンタリー写真から最も重要で優れた作品を選出する。今回は世界141カ国の3747人から、約5万7000点が寄せられた。
大賞を受賞したキャロル・グジーは「彼らが勇気を持って自らの人生を私のカメラにさらしてくれたからこそ、この物語を伝えられた。賞は彼らに贈られるべきものだ」と語る。
数カ月間、ほぼ毎日裁判所に通って撮影されたこの作品について、アジア太平洋・オセアニア地域審査員長を務めたAFP通信チーフフォトグラファーの千葉康由は「撮らなければ『起きたこと』にならず、歴史から消える。彼女の写真は、フォトジャーナリストとしての使命感と情熱にあふれている」と評する。
紛争、不条理、抵抗──言葉の壁を越えて報道写真が語る真実を読み解きたい。
片岡英子(本誌フォトエディター)
【連載第1026回】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2026年5月5,12日号掲載