ところが、こうした個人の興味に関する情報は、1on1の面談ではあがってこないことがほとんどなんです。面談ではもっと真面目なことを言わないとと思って、「中部が熱いです!」なんて言わないんですね。だから、もっとハードルを下げて、メンバーの興味を話せる機会を作っておくことが重要です。

──たしかに、面談では仕事に関係しそうなことだけ話してしまいそうです。自分の特技や専門性を活かしたいと思っても、なかなか仕事との接点を見つけられなくて苦しんでいる人は多いように思いますが、自分が認識している専門性の探究と、職業的な探究の接点が見出せない人に、何かアドバイスできることはありますか?

個人のキャリアデザインでも、組織のアサインでも重要な話ですよね。本には書いていない話をするのですが、何らかの専門性を持っている人は、アイデンティティを「対象領域」に置きがちだと思うんです。それだと、「デザインが好きだからデザイナーしかない」という話になって、能力が活かせる場所が非常に限定的になってしまいます。

でも、人間の興味というのは、特定の対象そのものというよりも、その対象と関わるときに満たされる自分の嗜好性にあるんじゃないかと思うんですよね。僕は「レンズ」という言い方をしているんですが、「これをこういうふうに眺めているときに楽しい」「これに関わっているとき面白いと感じる」という、その嗜好性を発露できる場として、それまで専門性を発揮していた領域があると。このレンズを言語化することさえできれば、領域をピボットできるんです。

現場が「良い」と信じられるものを、評価から逃がす
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