一方、民放テレビ「メトロテレビ」は9月30日午前、現地からの生中継でパル市内中心部のショッピングセンター「ラマヤーナ」での生存者の捜索活動、犠牲者の捜索の様子を伝えた。
地震で崩壊して複数の階が潰れた「ラマヤーナ」内部にBASARNASの救助隊員が入り生存者を捜索しようとする一方で、ビル横の損傷の少ない入り口からは周辺の群衆が勝手に内部に入り売り物の衣料品などを「略奪」する様子も映し出されていた。
さらに「ラマヤーナ」の駐車場では倒壊した建物に押しつぶされた乗用車からガソリンを抜く人々の様子も撮影されていた。レポートをするテレビ記者が声をかけるものの、おかまいなく次々とガソリンを抜き、別の男性たちと分け合っていた。ガソリンスタンドなどが被災してガソリンが不足していることからこうした「非常手段」にでたものと見られている。
現場には救助隊以外に警察官などがいないため、「略奪」や「ガソリン抜き」を止める人はおらず、「ラマヤーナ」の階上からは「略奪」された衣類などが地上に向けてばら撒かれ、人びとが路上でそれを拾い、テレビカメラの前を笑顔で持ち去る様子が生中継で全国に流れた。
命がけで旅客機を離陸させた管制官
こうした混乱のなかで地震に関する「美談」も報道されている。パル空港を9月28日午後5時55分出発予定のバティック航空国内線6231便は機長の要請により予定より3分早く旅客機のドアを閉めて滑走路に向かった。管制塔から「離陸OK」の連絡があったのが午後6時2分、まさにパルを地震が襲った時刻だった。
バティック航空6231便のリコステ・マフェラ機長は自らのインスタグラムへの書きこみで「滑走路を走りながら滑走路の異常を感じていたが、なんとか離陸できた。30秒遅かったら離陸できなかっただろう」と述べ、「6231便、滑走路33、離陸OK」と伝えてきた同空港の管制官、アントニウス・グナワン・アグン氏(21)の責任ある管制を称えた。
アグン氏は同機が無事に滑走路から離陸したのを見届けてから避難しようとしたが、その時には管制塔の上部が崩れ、飛び降りて手足を骨折し、結局助からなかったという。
リコステ機長はインスタグラムでアグン管制官の仕事ぶりを称えるとともに、離陸後高度1500フィートからみたパル周辺の海岸線の動画をアップした。そこには津波とみられる見慣れない波が写っている。