だから北朝鮮と中国は「アメリカは休戦協定違反だ」と長年主張してきたのである。
北朝鮮の肩を持つように思われたくないし、絶対にそのような誤解をしてほしくないが、客観的事実として、休戦協定違反をしているのはアメリカであることは明白なのである。筆者はこの「客観的事実」を『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』の第3章「北朝鮮問題と中朝関係の真相」で詳述した。
休戦協定を締結するに当たって、アメリカの違反行為を促したのは韓国の当時の李承晩大統領で、彼はどうしても休戦したくなく、アメリカが休戦協定を提案したことに反対した。自分一人ででも、絶対に戦いつづけて韓国が朝鮮半島を統一するのだと主張した。そこでアメリカはやむなく、李承晩をなだめるために米韓軍事同盟を締結したに過ぎない。その意味では朝鮮半島問題を生んだ「真犯人」は韓国であり、そもそも朝鮮戦争を起こしたのは北朝鮮の金日成(当時は主席)なので、「真犯人」は北朝鮮である、ということもできる。
もっとも、「真犯人」をたどれば、そもそも朝鮮半島に38度線を引いたアメリカと旧ソ連のせいだということができ、なぜ38度線が引かれたのかに関して言うならば、日本の朝鮮半島統治があったからだということになる。日本敗戦直後、旧ソ連の南下の中で米ソの間で行なわれた領土収奪合戦により引かれた線だ。南北首脳会談が、この38度線の撤廃にまでやがてつながるかどうかは別だが、少なくとも日朝国交樹立という事態になれば、日本にとっての戦後処理の終結を包含し、他人事ではなくなる。日朝間ではまだ戦後賠償に関する協議がなされていないからだ。
「終戦の意思を盛り込む」までが限界
いずれにせよ、この問題に関して南北首脳会談で語られるのは、せいいっぱい「休戦状態にある朝鮮戦争にピリオドを打ち、終戦に持っていきたい」という希望に対する意思表示をするところに留まると考えるべきだろう。つまり平和体制を構築したいという共同宣言を出すことだ。それ以上のことはできない。
日本は、このことを肝に銘じて発言に注意すべきであろうと考える。
