そんな浮世離れした話に説得力を持たせているのが3人の女優たちの演技だ。ドロシー役のスペンサーは相手に決してノーを言わせない、静かだが強い女性を見事に演じている。メアリー役のモネイも、自信過剰と不安の間を行ったり来たりする心の動きをうまく表現している。

最も感情に訴え掛ける場面を任されたのはやはり、主人公キャサリン役のヘンソンだ。同じポットからコーヒーを飲むのを嫌がる白人の同僚たちに異議を唱えたり、1日に何度も遠く離れた黒人用トイレまで行かなければならない不便さを訴える場面では非常に心を動かされ、考えさせられる。もっとも彼女の演技力の幅を一番実感できるのは、明るく楽しい場面のほうだ。

メルフィは人種差別や性差別の問題を真正面から扱った。それでも彼の狙いは、型にはまった物語を観客に押し付けることでもお涙頂戴でもなく、人々を勇気づけるサクセスストーリーを描くことだったのは明らかだ。

本作にはわざとらしいナレーションも、月並みな恋愛要素もなければドキドキするようないい男も出てこない。そこにあるのは素晴らしい女性の先人の姿であり、女性たちを応援し、教え導き、その心に訴えようとするメッセージ。彼女たち3人が教えてくれたこと、それはどんなに無理だと思えても、不可能はないということだ。

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