中朝国境封鎖をすれば、北朝鮮が中国にミサイルを向けてくる可能性がある。
一方、党大会前は、北京から全ての不安定要素を取り払うほどの警戒態勢に入る。万一、北朝鮮が中国にミサイル攻撃をして来た場合、抗戦する以外にない。このような事態が党大会前に来るのは絶対に困るのである。だから今すぐには中朝国境を封鎖する訳にはいかないのだ。
しかし放っておけば、北朝鮮はその間に技術を上げていき、中国には手の負えない国になっていくだろう。
中国はいま、そのジレンマの中にある。
本当に全ての選択はテーブルの上にあるのか?
トランプ大統領もティラーソン国務長官も、「あらゆる選択はテーブルの上にある」と繰り返してきた。3月、4月と、米韓演習をしている間は、たしかに「戦争という選択もテーブルの上にある」と言うことによって軍事攻撃を暗示していたので、一定程度の効果を持ったかもしれない。
しかし、軍事的に脅した挙句、結局アメリカは軍事攻撃をしてこないと分かると、北朝鮮は調子に乗るばかりだろう。
特にアメリカのマティス国防長官は5月19日、北朝鮮への対応について「軍事的な解決に向かえば、信じられない規模の悲劇になるだろう」と述べ、軍事攻撃について慎重な姿勢を示した。
つまりこれは、「アメリカは、あらゆる選択をテーブルの上に持っていない」ということを示したのと同じことになる。これでは北朝鮮の思う壺ではないのか。
中国も党大会を控えて11月までは慎重姿勢を取るだろうから、北朝鮮はそれまでに技術のレベルアップに注力し、ミサイル発射を続けるばかりとなろう。
百万回、「厳しい抗議」などを表明しても、北朝鮮は何とも思っていない。
ティラーソン国務長官は何度も「アメリカの20年間の対北朝鮮政策は間違っていた」と言ったが、今も間違っているのではないかと思う。
中国も、「対話で」というのなら、さっさと中朝国境を封鎖すればいいのに、党大会を重んじて、今は慎重姿勢だ。
米中ともに手詰まり感とジレンマの中にいる。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。