<顔が似るほどに家族の愛は強くなるのか? ほかにはない形で家族を結び付けるのか?>
養子として育った写真家エリック・ミューラーは、「誰かに似ている」とはどんな感じなのかといつも考えていた。似るほどに愛は強くなるのか? ほかにはない形で家族を結び付けるのか?
育ての親には愛されたが、同性愛者で子供のいない(夫はいる)自分を、空を漂う葉っぱのようにも感じていた。そんなミューラーは40代で養子斡旋組織の力を借りて実の親を探し始め、45歳のときに母シェリルの写真を手に入れる(しかし、彼女は8年前に亡くなっていた)。
自分に似た人間を初めて見たときの気持ちは何とも説明しづらいものだったという。「安堵と驚嘆と喜びが入り交じり、生物学的な家族なしに育った喪失感への悲しさもあった」
稲妻に打たれたようなその経験を理解するために、彼は遺伝的つながりがあり、よく似た家族を記録することに。3年間で約700人を撮影したプロジェクトは、写真集『家族の相似』にまとまった。
被写体には家族と似ていることの意味を尋ねたが、答えは人によってさまざま。それでも誰かと根源的なところでつながっていることの証しと、それがもたらす安心感は共通しているようだった。




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