「長寿の里」大宜味村で100人を超える高齢者を対象に行われたインタビューで得られた、シンプルで味わいのある言葉に触れられるのが特にいい。当たり前のことを当たり前にたゆまず続けること、感謝と笑顔で人生を楽しむことの大切さを再認識させられる。

回答の一部はそのまま紹介されているほか、「『生きがい』十戒」として本書のおわりにまとめられている。ここで簡潔に紹介しておこう。

●「生きがい」十戒

1.すっかり隠退してしまわず、常に活動的でいる。

2.穏やかに生活する。

3.満腹になるまで食べない。

4.よき友人に囲まれる。

5.次の誕生日までに体調を整える。

6.微笑む。

7.自然に還る。

8.感謝する。

9.「いまこのとき」を生きる。

10.自分の「生きがい」に従う。

印象的なセンテンスを対訳で読む

以下は、『外国人が見つけた長寿ニッポン幸せの秘密』の原書と邦訳からそれぞれ抜粋した。

●Los japoneses son buenos uniendo naturaleza con tecnología; no es el hombre contra la naturaleza, sino la unión de ambos.

(日本人が自然とテクノロジーを一体化させるのが得意なのは、人と自然が対峙するのではなく、結びついているからだ)

――日本の職人技を説明している箇所。仕事に没頭してフロー状態に入り、作業対象と一体化することに特別な側面があるのは、神道では森にも木にもモノにも「カミ」(霊、神)が宿っているから、と論じている。「対象に命を吹き込む」べく、自然を常に敬いながらも上手に活用することが、ものを作り出す人間の責任だという。

●La comida no alarga la vida, el secreto es sonreír y pasarlo bien.

(食事で寿命が延びるわけじゃないのよ。長生きの秘訣は、笑顔で人生を楽しむこと)

――大宜味村で著者ふたりを食事に連れて行ったユキコさん(88歳)のことば。このようなことばがほかにもいろいろ紹介されている。

●La vida es pura imperfección, como reza el wabi-sabi, y el paso del tiempo nos demuestra que todo es efímero, pero si tienes un ikigai definido, cada momento albergará tantas posibilidades que es como una eternidad.

(「侘・寂」のことばどおり、人生は不完全そのものであり、時の流れは諸行無常を示している。それでも、はっきりした「生きがい」があれば、どの瞬間にも多くの可能性があり、永遠とも言える)

――すべての逆境には成長の可能性が潜んでいる。打撃を受けるたびに強くなる方法を見出せるはず。要するに、打撃を不運ととらえるか、「いい経験」ととらえるかの違いだという。

◇ ◇ ◇
逆境も成長の機会ととらえ、前を向いて生きていくための、あなたの「生きがい」は何だろうか。

『外国人が見つけた長寿ニッポン幸せの秘密』

 エクトル・ガルシア、フランセスク・ミラージェス 著

 齋藤慎子 訳

 エクスナレッジ

※当記事は2017年7月27日にアップした記事の再掲載です。

トランネット

出版翻訳専門の翻訳会社。2000年設立。年間150~200タイトルの書籍を翻訳する。多くの国内出版社の協力のもと、翻訳者に広く出版翻訳のチャンスを提供するための出版翻訳オーディションを開催。出版社・編集者には、海外出版社・エージェントとのネットワークを活かした翻訳出版企画、および実力ある翻訳者を紹介する。近年は日本の書籍を海外で出版するためのサポートサービスにも力を入れている。
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