5月には首都ワシントンでイスラエル大使館員2人が射殺された。検察は、イスラエルへの憎悪が犯行の動機だったと主張している。

そして6月には前述のようにミネソタ州議会のメリッサ・ホートマン議員(民主党)と夫が銃撃されて死亡。犯人は同じ民主党のジョン・ホフマン議員夫妻も襲ったが、両人とも一命を取り留めた。

「21年1月から今日までの事態に匹敵するほど政治的暴力が激化したのは1960年代だけだ」と指摘するのはアメリカン大学「環境・コミュニティー・公平性センター」の社会学者ダナ・フィッシャー教授。彼女によれば、今年はマーチン・ルーサー・キング牧師とロバート・F・ケネディ上院議員が暗殺された68年に不気味なほど似ている。

9月10日に殺されたチャーリー・カークはトランプの盟友で右派の活動家。特に保守的な若年層の間では人気者だった。ユタ州のコックス知事はカーク殺害の容疑者を「左派的イデオロギーの持ち主」と呼んだが、捜査は継続中で動機の解明が待たれている。

しかしトランプ政権は、事件を受けて早速「急進左派」を非難し、左派系団体の調査に乗り出すと宣言した。アメリカ社会の権威主義化が進むなか、民主党は異論の弾圧や言論の自由への侵害だとして警戒を強めている。

カークが射殺された後のユタバレー大学の討論イベント会場
カークが射殺された後のユタバレー大学の討論イベント会場(ドローン撮影、9月11日) CHENEY ORRーREUTERS
暴力容認に傾く世論
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