中国の清華大学・国際安全保障戦略センターの研究員、スン・チェンハオ氏は、トランプ氏の政策決定の不確実性は、中国から脱却すべきか否かを、あるいは脱却の程度を決めたい企業にとって「非常につらい」と指摘。「現在緊張が緩和したからと言って、米企業が中国で大胆な事業展開を行うことはないだろう。どの企業も、再び関税が課されるのではないかと様子見を続けている」と語った。

トランプ氏は1期目にも中国に追加関税を課したため、ベトナムなどの国は当時から製造業を引きつけてきた。しかし予想外の米中接近により、こうした国々は、さらに有利な対米合意を結ぶ必要に迫られている。

 

ベトナムの国際法律事務所、ルターのレイフ・シュナイダー所長は「ベトナムが中国よりも良い合意を結ぶことができれば――今日、その可能性は高まった――、この地域の投資戦略において中国に代わる魅力的な場所としてアピールできるだろう」と述べた。

貿易を巡る緊張と不確実性により、ベトナムへの新規外国投資は既に減少しており、4月には契約ベースで前月比30%減、前年同月比約8%減の28億4000万ドルとなった。

一方、メキシコのシェインバウム大統領は、メキシコは米国の関税政策において比較的有利な立場にあると強調してきた。「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」によって対米輸出の大部分は関税が免除されている。ただトランプ氏は、鉄鋼、アルミニウム、車両、自動車部品に対しては大規模な関税を課している。

メキシコの元駐中国大使で現在は国際貿易コンサルタントのホルヘ・グアハルド氏は、12日の米中関税合意が今後も継続されたとしても、多国籍企業は中国1国に依存するリスクを警戒し続け、メキシコがその恩恵を被る可能性があると予想。「ウォルマート、ターゲット、ホームデポなど、5週間の地獄をくぐり抜けた主要な輸入企業であれば、一時的な緩和を歓迎しながらも別の輸入先を探しているだろう」と話した。



[ロイター]
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