<小さい頃から歌が好きで、作詞を続けてきた荒川河川敷に住むホームレス。ついに有名な歌手とコラボし、曲を作ることになった。そこには彼の「生きること」に対する想いが込められていた。在日中国人ジャーナリスト趙海成氏による連載ルポ第21話>

2020年12月9日、沖縄の4人組バンド「かりゆし58」のギターボーカリスト前川真悟さんが、荒川河川敷に住むホームレスの征一郎さんと共作した歌「かわがないてるよ」がリリースされた。前川さんが作曲と歌、征一郎さん(リリース時の表記はひらがなで「せいいちろう」)は作詞を担当し、ミュージックビデオにも出演した。

社会貢献とエンターテインメントの融合を目的とした新しい試みであり、広く注目されるはずだった。征一郎さん自身も、この曲で有名になって、プロのミュージシャンになる夢を叶えたいと思っていた。しかし残念なことに、コロナウイルスの感染拡大があり、征一郎さんの音楽への道も途絶えてしまった。

荒川に架かる戸田橋の下の荒涼とした場所で征一郎さんを取材したとき、この歌がネット上に残っているかどうか調べてほしい、と頼まれた。

彼の目の前でスマホに「かわがないてるよ」と入力して検索すると、征一郎さんが制作に参加したこの歌は無料で聴けるだけでなく、彼が出演したミュージックビデオや歌手の前川真悟さんと一緒に写った写真もネットに上がっていた。

征一郎さんはそれを見てとても興奮し、私も喜んだ。

この「かわがないてるよ」という歌は大ヒットしたわけではないが、今でもネット上でいつでも聴くことができる。征一郎さんにとって、なにより喜ばしいことだろう。

征一郎さんが描いた絵
征一郎さんが描いた絵

読者の皆さんも、ぜひネットで調べて聴いてみてほしい。ここではまず、彼が書いた歌詞を公開して、皆さんに共有したい。

 

「かわがないてるよ」

たまにかわがないてるよ
じだいのながれにながされて
たまにかわがないてるよ
じだいのながれにとまどって

かわはせんそうもじしんもみてきたんだ
そして自分でいのちをたちにくるひとも
なにもかも かわには なにも かくせないんだ

たまにかわがないてるよ
いじめられてきたんだな
ここでは自分をごまかさなくてもいいんだ

かえるときになやみはすてて
かわはなにもいってくれないけど
きっときみをいやしてくれる
いつでもきがるにまたおいで
くればほんねの自分でいられる

たまにかわがないてるよ
じだいのながれにながされて
たまにかわがないてるよ
じだいのながれにとまどって

ここでは自分をごまかさなくてもいいんだ

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「かわがないてるよ」ミュージックビデオ
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