想像してみてほしい。私はウェストウッドビレッジで『マトリックス』を見ている。主演のキアヌ・リーブスはたくましくて、おしゃれでかっこいい。私は一人。この映画のテレビCMは娘のビリーと一緒に見たのだけれど、ビリーはまだこの映画には幼すぎる。だから私は一人で来た。

 ビリーには、昔の『スター・ウォーズ』ぐらいがちょうどいい。ビリーは今でも、「レイアの泡に包まれれば、気分はお姫さま」と書いてある古いせっけんを大切にしている。私の顔がキャップになっているシャンプーの瓶もお気に入りだ。

 娘は学校にもレイア姫のキャラクターがあしらわれたファイルを持っていく。それを見ると私は胸が熱くなる。ファイルがぼろぼろになってしまったので、私はジョージ(・ルーカス)に電話して、ルーカスフィルムの倉庫から、今ではプレミアムがついているファイルを探してもらった。

 さて、娘をおいてきた私は、映画館で独りポップコーンを買っている。外は雨。なのに映画館の前では、『スター・ウォーズ エピソード1』の封切りを待つ人たちがもう列を作っている。封切りまでまだ1カ月もあるというのに。

 隣でスナックを買っていた女性が、「あの顔」で私を見る。「今度の『スター・ウォーズ』にも出ているの?」と人々が私に聞く前にする、あの顔だ。彼女が口を開く前に、私は言った。「いいえ、出ていません。だってあれは、私が出た映画の時代よりずっと昔の話ですもの」。どうやら、納得してもらえたようだ。

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忘れられない鉄のビキニ

 客席では、観客が『エピソード1』の予告編に沸いている。これを見ると、前の3部作がいかにも古くさく見える。遠い遠い昔の映画のように......。

 それで私は思い出した。ハリソン・フォードが今のようなスターになる前に、彼に夢中になったことを。最初の『スター・ウォーズ』で共演したとき、私は19歳で彼は34歳だった。当時の日記には、こんなことが書いてある。

「人間なんかに恋しないで、椅子に恋をしなきゃ。椅子には、人間のもつすべてがある。ちょっと控えめなだけ。でも、それこそ私が必要なもの。感情も知的な反応もぬくもりも、みんな控えめ。控えめな同意、忍耐、反応。控えめなほうがかえって楽しい。そうよ、椅子を愛そう。家具を愛して心を満たさなきゃ」

『スター・ウォーズ』が大ヒットしたころ、私たちは映画館にできた行列のわきを車で走ったものだった。まったく現実感がなかった。

 有名人としての振る舞い方も知らなかった。宣伝ツアーで全米を回ったときは、マスコミの取材がすむと地元の遊園地に直行した。シアトルでハリソンが、トークショーに出たスーツ姿のまま、観覧車の箱の中でふざけていた姿が目に焼きついている。

 撮影中の思い出といえば『ジェダイの帰還』で着た鉄のビキニは忘れられない。地獄の責め苦みたいなものだったから。