<外敵を阻止する自然の大きな「壁」がないシリアは、世界との貿易に開けていると同時に、軍事侵攻のルートにもなりやすい地形>

10年以上続いたシリア内戦が、バシャル・アサド大統領の出国により終わりを迎えた。今後は、反体制派のシャーム解放機構(HTS)を中心に、安定らしきものが戻ってくるだろう──。

そんなふうに考えるのは、残念ながら間違いだ。なにしろシリアには、戻るべき安定した時代など、ほとんどなかったのだから。

シリア内戦は、宗教やイデオロギーと同じくらい、その地理によって激化してきた。今回の戦争の終わりは、次の戦争の始まりを意味する可能性も十分ある。

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シリアには、国内にも国境沿いにも大きな自然の「壁」がない。北西部は地中海に面しており、世界との貿易に開けていると同時に、軍事侵攻のルートにもなりやすい。

東にはユーフラテス川が流れ、中央から南辺には砂漠が広がり、北辺はトロス山脈の南麓の平原が広がる。つまり、シリアの地理には外敵を阻止する壁もなければ、国内で最終防衛線となる壁もない。

現代のシリア国境の大部分は人為的に引かれたものだ。このため国境は脆弱で、権力は独立性が低く、国家としてのアイデンティティーも乏しい。

一方、国内は地形によって6つのエリアに分かれている。南西部のオアシスと、北部の地域貿易の重要拠点、西の地中海沿岸部、南の険しい高原、南北に走る回廊、そして平らで不毛な東部だ。

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シリアの戦いの歴史
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