中国企業が全ての主な貿易相手国で大規模な工場を建設するのは非現実的だ。また、中国の労働市場は低迷しており、製造業の雇用が国外に移転することを中国当局は嫌がるだろう。実際、9月には自動車メーカーに対し、EVの先端技術と生産能力を国内で維持するように指導したと報じられた。
中国が国内経済と市場を安定させる政策に移行していることは、国内需要と市場の信頼の低迷に、遅ればせながら対応しているとも言える。だが、持続可能な長期的成長に不可欠な消費刺激策は、今のところ家電などの下取りプログラムへの補助金増額と、住宅ローン金利の引き下げぐらいだ。
過剰生産能力の問題は、経済の再均衡化と産業政策の全面的な見直しが必要になる。中国の政府系エコノミストの間では革新的なアプローチの議論が高まっているが、指導者たちは依然として抜本的な改革に反対している。関税が積み上がり、地政学的な緊張が高まって、中国の景気減速が悪化しているなか、いずれは構造の問題と向き合わざるを得ないかもしれない。
ブレンダン・ケリーBRENDAN KELLY
2024年7月まで米国家安全保障会議の中国経済担当ディレクター。在中国大使館の財務担当官、ニューヨーク連邦準備銀行のアジア担当分析主任などを歴任。
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