[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業・製造業の景況感が2四半期ぶりに悪化した。中国をはじめとする海外経済の減速を受け、前回12月調査からの悪化幅は7ポイントと12年12月調査以来の大きさとなった。大企業・全産業の19年度の設備投資計画は事前予想を上回る増加のスタートとなったが、市場では、企業心理の悪化を受け、先行きの下振れリスクも指摘されている。

大企業・製造業は業況判断DI(良い-悪い)はプラス12となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測ではプラス14が見込まれていたが、これを下回った。非製造業もプラス21で、前回調査から3ポイント悪化。これも、事前予想のプラス22を下回った。

全規模・全産業ではプラス12で、17年6月調査以来の水準となった。

大企業・製造業は、化学や非鉄金属などの素材業種、金属製品や汎用機械、生産用機械、電気機械などの加工業種ともに悪化した。「加工業種は、海外経済の減速を受けてIT関連や設備投資関連、自動車関連で需要が減少したとの声が幅広く聞かれた」(日銀幹部)という。海外需要減少の背景には、貿易摩擦の影響の可能性を指摘する声も聞かれた。また、素材業種では、原材料高の声もあったという。

大企業・非製造業では、卸売や運輸で外需減少によってモノの動きが鈍っているとの指摘があった。

先行きは大企業・製造業がプラス8、同非製造業がプラス20で、ともに足元から悪化が見込まれている。大企業・製造業、非製造業ともに悪化見込みは2期連続となる。

大企業・製造業の想定為替レートは1ドル109.50円と、前回調査からやや円安方向に修正された。一方、19年度の想定為替レートは108.87円となり、円高方向での設定となっている。

<設備投資計画に下振れリスクの声>

需給判断をみると、製造業、非製造業ともに供給超過方向への動きとなった。仕入れ・販売価格判断も製造業・非製造業ともに上昇超幅が縮小した。

経常利益は、大企業製造業が下方修正、非製造業が上方修正された。全規模全産業では下方修正され、前年度比マイナス1.5%の減益予想となった。

19年度計画は、全規模全産業で0.7%の減益予想となっている。

大企業・全産業の2019年度の設備投資計画は前年比1.2%増で、民間調査機関の予測の同0.4%減を上回った。日銀によると、年度計画としては、過去平均を上回るスタートとなる。

18年度の設備投資計画は、製造業が下方修正となった一方で、非製造業は上方修正となった。

みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、短観を受けて「企業心理面で景気の悪化を確認した」と指摘。

設備投資は「腰折れ的な悪化が起きている訳ではなく、しっかりした数字が並んでいる」としたが、「海外経済の減速や消費税率引き上げの影響が見込まれる中、心理面でなお警戒される部分があり、この先は下方修正されやすい」とみている。

19年度の想定為替レートについて三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は、日本と米欧の金融緩和余地の違いを踏まえ、「緩和を経由した通貨安があり得る」とし、現在の想定レートでは「『備えあれば憂いなし』と言えるほどに十分な円高リスクの織り込みはなされていない」と述べている。

(清水律子 伊藤純夫 編集:田中志保)

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