本来、議会制民主主義の長所は、政治が腐敗したときにこそ発揮されるはずだった。参政権とは議論によって誤った政治を正しい政治へと引き戻すための力だからだ。だが、実際に起こったのは、政治が腐敗すると有権者は政治に関心を失い、人任せにしようとするという現象だった。それによって議会は本来の力を失い、ますます民主主義は危機に陥っていく。

民主主義が危機に陥った結果として発生するのが先月述べたような様々な不穏な事件であり、それが頻発するようになると、それを制圧する強力な独裁的リーダーを民衆は求めるようになる。これは一種の悪循環と呼べる。

現在、議員定数を削減することに積極的に反対する政党はほとんどない。削減に積極的な政党は維新の会だが、自民党や立憲民主党も議員定数削減自体は反対していない。しかしむしろ参議院などについていえば、地方の議員数を維持しつつ一票の格差問題を解決するためには、議員定数は増やしたほうがよい。これは以前の記事で扱った参議院の憲法審査会で専門家の意見として提示されている。

議員定数を減らさずむしろ増やすという議論は十分合理性があるものだが、日本の政治不信ムードの中では嫌われやすい意見だ。だから多くの議員は、意地悪く言えばそうしたムードに媚びを売るかのように、議員定数削減を唱えてしまう。しかしそれは議会制民主主義の価値を自ら切り売りしているだけなのだ。

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