<買い物、通院──免許返納者が増加する今日、工夫次第でタクシーの需要はまだまだ伸びる>

タクシーをはじめとするモビリティサービスの話題は、配車システム、自動運転、ダイナミックプライシング、AIデマンドなどデジタル革新の話が多い。しかし、売上増にはつながらず、ビジネスとして厳しいサービスも多い。

デジタル活用の前に、どんなニーズがあるか、どのような使い方や料金パックを提案できるのかを研究する必要がある。まずはタクシーの使い道、その提案の仕方の可能性を探ってみたい。

コロナで大きく落ち込んだ需要

タクシーの業界団体である全国ハイヤー・タクシー連合会は昨年11月の声明で、緊急事態宣言による観光客の激減、外出の自粛要請、テレワークの推進、飲食店への営業時間短縮要請などによって人の動きが止まり、甚大な影響が出ていると訴えた。需要回復は鈍く、当分の間、コロナ禍以前の水準に回復する見込みはないとしている。

国土交通省の「新型コロナウイルス感染症による関係業界への影響について」(2021年4月30日時点)によると、タクシー業界で運送収入が30%以上減少した事業者は76%、輸送人員は41%減った。資金繰り支援を92%の事業者が、雇用調整助成金を74%の事業者が受けてしのいでいる状況だ。

観光客、夜の飲食店利用者、出張中のビジネスマンをターゲットにしてきた事業者は苦境に立たされている。

一方、あまり大きな打撃を受けずに戻った需要もあるようだ。クルマの運転ができず、買い物や病院など、日常的な移動にタクシーを使う高齢者の需要だ。愛知県のタクシー事業者によると、新型コロナウイルスがどのようなウイルスか分からなかった昨年までは出控えが続いたが、2021年末時点で高齢者の需要はほとんど戻ってきたと話す。

同じタクシー業界でも、提供できるサービスの内容や質は異なる。車いすの乗降サポートができ、高齢者や障害者をはじめ地域住民を大切にしている事業者はコロナ禍にも強いようだ。

免許返納者が増え、高齢者の需要が伸びる

タクシーを日常的に利用したいというニーズは今後も堅調だ。

免許返納をする高齢者は年々増えており、今後さらに増加する見通しだ。警察庁の運転免許統計によると、2019年の自主返納者数(申請による運転免許の取消件数)は601,022人、2020年はコロナの影響を受けて前年より減少したとはいえ2018年以前よりも多く552,361人だ。

これまでのタクシー、これからのタクシー