彼の本領とすごさは、1980年に放送を始めたテレビドラマ『警視-K』で発揮されている。あえて脚本はアバウトに仕上げ、セリフはほぼ俳優たちのアドリブ。だからアフレコは不可能だ。全て現場で同時録音。ノイズも交じる。第1話オンエア中から放送局である日本テレビには、「言葉が聞こえない」「意味が分からない」などと抗議の電話が殺到したという。ほとんど実験映画だ。1人でテレビドラマのヌーベルバーグをやろうとしたと評する人もいる。結局は1クールで打ち切られた。

座頭市は邦画における徒花(あだばな)的な存在。そしてそれは、日本芸能史における勝新のポジションと、見事な相似形を成している。

magmori210617_zatoichi2.jpg『座頭市物語』(1962年) 

監督/三隅研次

出演/勝新太郎、万里昌代、島田竜三、三田村元

<本誌2021年6月22日号掲載>

【関連記事】