そして、やや性急な方法に見えたウィトコフの発言について、カミーユ・グランは「米国、特にウィトコフは、欧州諸国に向かって『NATOはなくても似たようなものはある』と安心させるためのシグナルを送ろうとしているのです」と説明した。

しかし、プーチン大統領が「第5条のようなもの」を受け入れる可能性は低い。なぜなら「それはウクライナのNATO加盟に等しいか、または必然的にそれにつながるからです」と、元NATO高官のジェイミー・シアは『ル・モンド』に解説した。プーチンの一見譲歩に見える回答は、煙幕に過ぎないという。

おそらく、ただの時間稼ぎの外交術なのではないか。停戦の動きが出てきたので、それまでに少しでも多くの土地を占領するという算段なのだろう。

それでも、ウィトコフの発言でバルーンは上げられ、「第5条のようなもの」問題は世界中の注目を引いた。

「少なくとも、ドナルド・トランプがこの問題について真剣かどうか、プーチンとの交渉でこれをレッドラインとしているかどうかを確認できるでしょう」 とシアは述べた。

これはどういう意味だろうか。

欧州は、各国で意見が分裂しながらも、欧州のことは欧州で守る素地が生まれてきた。現段階で地上部隊をウクライナに出すことを決めている有志の国々は、自らの意志で欧州防衛を行う用意がある。

とはいっても、欧州にとってアメリカは今でも同盟国である。

もし停戦後にウクライナで何かの事件や戦闘が発生したら、アメリカはロシアからヨーロッパ人兵士を守る意志があるのだろうか。それとも(たとえ結果的にでも)ロシアを利してヨーロッパ人兵士を見捨てるのか。欧州にとって試金石となっており、今「第5条のようなもの」によって、欧州と米国の絆が試されているのではないだろうか。

トランプ大統領は拒絶はしなかった。「空だけ」という妥協案を出して、欧州側についたように見える。ヨーロッパ人としては、ほっとしたという所だろう。

慌ただしい動き
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