遠足バスを手配し忘れ、ミスの発覚を恐れて狂言騒動を起こした大手旅行会社の社員。コンペにより選ばれた大会エンブレムのデザインが盗作だと非難され、撤回した著名デザイナー。ネットの機械翻訳そのままであるかのような原稿に気づかず、翻訳書を出版した出版社の編集者......。

 産業の空洞化が日本経済の問題としてよく指摘されるが、それ以上に、ビジネスパーソン1人ひとりの「スキルの空洞化」のほうが実は深刻だと、コンサルタントで日本タイムマネジメント普及協会理事長の行本明説氏は言う。

 ジョブローテーションから組織のフラット化、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、ノー残業デーまで、日本にはびこる「間違いだらけのマネジメント」が、現場のスキルを空洞化させていると訴える行本氏。

 行本氏は新刊『ワーク・コントロール 仕事に振りまわされないための[スマートマネジメント]』(CCCメディアハウス)で、データと理論に基づいてその間違いを正し、ホワイトカラーの生産性を劇的に上げる新しいマネジメントモデルを提唱している。ここでは本書から一部を抜粋し、4回に分けて掲載する。

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『ワーク・コントロール

 ――仕事に振りまわされないための[スマートマネジメント]』

 行本明説 著

 CCCメディアハウス

※抜粋第1回:「働きやすい制度」が生産性を下げてしまう理由 はこちら

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「音声情報」がフレックスタイム制を機能させる

[ロジック] 「他人と共同でやる仕事」の生産性を上げる

 フレックスタイム制も、期待どおりの成果をあげていません。その最大の理由は、フラット型組織と同様に、組織内のコミュニケーションの悪化といえます。

 その理屈について、もう一度確認しておきましょう。

 どんな人にも、「自分ひとりでやる仕事」と「他人と共同でやる仕事」があります。また、自分ひとりでやる仕事には専門知識、他人と共同でやる仕事にはコミュニケーションスキルが必要です。そして一般的には、この2つの仕事は4対6の割合です。つまり、私たちの仕事の6割以上はコミュニケーション絡みなのです。

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 一見、働きやすいフレックスタイム制ですが、「自分ひとりでやる仕事」への方策にはなっても、仕事の6割以上を占める「他人と共同でやる仕事」に対しては無力です。

 こうした基本を知らないままフレックスタイム制を導入すれば、他人と共同でやるコミュニケーション絡みの仕事で、さまざまなトラブルを引き起こすのは当然です。

 生産性向上を目的としてフレックスタイム制を導入するなら、さらに綿密な検証が必要です。つまり、どうすればコミュニケーションの「質」を上げたり、「量」を増やしたりすることができるのかを考えなくてはならないのです。

 たとえば朝、チームのメンバーが揃わないため、情報共有が遅れたとしましょう。それは業務の遅れに直結し、生産性の低下を招きます。

 また、「メールで情報のやりとりをするから大丈夫だ」と主張する人もいますが、実際には音声情報の不足がコミュニケーションの精度を落としています。

[ノウハウ] コミュニケーション・ロジックを理解する

 このように、「仕事のしくみ」からフレックスタイム制の弱点がわかったら、次はコミュニケーション・ロジックをしっかり理解してください。コミュニケーションのしくみを知って、効果的に情報を伝達するのです。

 具体的に説明しましょう。