フランスの外務省にとってもっとも大切な大使館のトップ10は以下の通りです。米国、中国、ロシア、イギリス。インド、モロッコ、トルコ、アルゼンチン、コートジボアール、日本──

最初の四カ国は国連安保理常任理事国で、次の六つは経済的(インド、コートジボアール、日本)あるいは政治的(モロッコ、トルコ、アルゼンチン)に重要な国です。いずれにしても、これらの名誉ある大使館では、およそ70年間で女性大使は1人だけ、シルヴィ・ベルマン(2010年代に中、英、露で仏大使)だけでした。割合にすると、3割どころか2%以下なのではないでしょうか。

フランス政治のエリートを育成するフランス国立行政学院(ENA)ではこの20年間、大勢の女性が卒業しました。しかしいざ外務省に入ると、なかなか昇進できません。外務省はフランス官庁の最後の恐竜といえるでしょう。

ENA出身ではなかったニコラ・サルコジ元大統領(2007〜2012)は官僚が大嫌いで、最も閉鎖的な外務省に男女平等な政策を行わせ、たった3年で22人の女性を大使にしました(教養のあるカルラ・ブリュニ夫人の影響もあったでしょう)。次のフランソワ・オランド政権のファビウス外務大臣も改善に挑みましたが、少しずつ外務省に逆襲されました。

出世システムを持たない女性

なぜ女性は出世できないのか。フランス社会は家族や子育てには寛大ですから、出産や母親業は女性外交官の出世率の低さの原因にはなりません。先のリベラシオン紙の特集では、男性外交官は政治で大事と言われる出世競争に多くの時間を注ぐのに対し、女性は生真面目に与えられたミッションを最後まで果たすことに重きをおくと、ある社会学者が説明しています。男性の方がずるいという短絡的な結論ではなく、男性陣の出世を助ける男性だけの組織(クラブ)や習慣(スポーツ観戦など)が、女性陣を支えるグループより多いということです。

マクロン政権のカリスマで、若く雄弁なマルレーヌ・シアッパ首相付男女平等・差別対策担当副大臣は仏メディアでは救世主として紹介され、ジャンヌ・ダルクの再来とも見られています。ジャンヌ・ダルクは火刑にされたので、嫌な予感がしますね。一体、フランスに何が必要なのでしょうか。パリ市長のアンヌ・イダルゴは2024年のパリ五輪と、長い間見捨てられていたパリ郊外の再生という偉大な構想を成功させたら、次期首相の道もあるかもしれないと言われます。マクロン大統領の続投は今のままなら難しそうです。

フランスも政府は男性が牛耳っている