そんな中、私はとても心配していることがあります。東京五輪が終わっても何も変わらないことです。すでに、テニスの聖地と堂々と呼ばれるお台場の有明テニスの森公園はせっかく五輪のために世界基準のハードコートを50面作られるものの、五輪が終わってすぐにオムニコート(人工芝)という時代遅れのサーフェスに戻すのだそうです。港区議会で赤坂大輔議員が異議を唱えても、「コア・メンバーである高齢者ユーザーに昔のままのオムニが使いやすくて好評なのです」ときっぱりと言われます。
日本の官僚の壁は相変わらず高いのです。前例がない、変えたくない、チャレンジをしないということですね。オリンピックに最も合う言葉はチャレンジなのに......。リスクをとらずに、昔ながらのビジネス・モデルをひっぱる一部の古い日本は沈没しますよ。
一方、フランスに必要なのは国民の新たなアイデンティティを生み出すことです。フランスは国民を宗教(カトリック)で統一する時代が終わり、EUになって国家という概念も薄くなりました 。言語(フランス語)と歴史を学校で教えるとはいえ、国とは何か、スポーツにその答えがあると思います 。国とは、同じ共同体に属していることであり、市民としての責任を感じることです。簡単に言えば、スポーツのチームスピリットですね。運動をしながらそれに気づいて欲しいです。
運動文化は国の将来もかえうるもの
日本とフランスの若い世代はこれからスポーツ(運動)どう向き合うのでしょうか。スポーツ文化というものは、まさにムーブメントになれるものです。いわゆる、新しい流れを作ってくれます。英語やアピールが苦手なフランスと日本にとってなおさら、侮れない世界共通のコミュニケーション・ツールです。
スポーツを通じて海外で友達を作るという意味ではありません。スポーツは日本企業にとって、あなどれないソフトパワーなのです。たとえば、市場を切り開いてくれる最高のPRツールとして。香川真司選手がマンチェスターユナイテッドに所属していたとき、11社もの日本企業がそのクラブと契約し、サッカーを通じて 彼らはMade in Japanを世界中にアピールできました。スポーツは異文化をつなげるきっかけにもなるのです。
それゆえに、スポーツが大好きな日本の若い世代は、スポーツは将来日本と世界をつなぐきっかけとして考えればいいのです。日仏の若者がオリンピックで運動をするモチベーションを高め、スポーツで心体を磨き、自国の運動文化を変えることによって、自分の国の将来も変えられるのかもしれません。それが真のスポーツの力というものです。