<若者に自主性が足りないのは今に始まったことではない。ただ昔は、「俺が責任取るからチャレンジしろ」と背中を押す上司がいた。今のマネジャーは愚痴を言うだけ、それが日本企業の競争力を引っ張っている>
10年以上も、年間100回以上の講演やセミナーを管理者向けに実施していると、世の中の企業のマネジャーがどのようなことで悩んでいるのか、手に取るようにわかります。
10年前も、5年前も、そして現在も、共通の悩みを上司は抱えています。
組織の問題を解決するための「策」がわからないわけでもない。「策」はわかっているのだけれど、成果を手にできない。なぜなら、そのための「行動」が伴わないから──。
組織の根本的な問題は、これに尽きると言えます。
どんなに素晴らしい企画書を作り、どんなに長い時間かけて会議で議論しても、それが実行されなければ意味がありません。虚しいだけです。
日本には、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような、イノベーティブな発想をする人材がいないと言われて久しいですが、日本企業の問題はそんなことではありません。
現場を見ればわかる。行動力がないのに、発想力を身につけても意味がない。
日本人は、かつて手にしていた「コツコツやる」という麗しい気質を失ってしまったのです。
自主性のない部下たち
企業の現場に入ってコンサルティングしていると、マネジャーの皆さんが口をそろえて言うのは「部下の自主性」についてです。
「最近は自主性に欠ける部下が多い」
「いちいち指示しないとやらない若者が増えた」
と、愚痴ばかりこぼします。
ある部分を除いて、私も共感します。危機感や問題意識が足りないのか。自分から主体的に動く若者は少ないし、積極的に手を挙げて発言する人も多くない。上司の目線で見れば、物足りなさを感じます。
「ある部分を除いて」と書いたのは、それは最近の事象ではないから。49歳の私が若いころも、「最近の若いヤツは何を考えているかわからない。自主性が足りない」と、言われつづけていました。同年代の方も、覚えがあるでしょう。
ただ、現代と違っていたのは、自主性のないまま放置されることは稀であった、ということです。
「もっと積極的に失敗しろ」「俺が責任をとるからチャレンジしろ」と追い込まれました。「何事にも受け身でいられる状態」を長くつづけさせてはもらえなかったのです。
また、「自主性がない」とはいっても「自主性がゼロ」ではないことも上司は知っておくべきでしょう。
上司から指示されたこと以外、いっさい何もやらないような部下は存在しません。上司が「100」のレベルの行動を自主的にやってもらいたいと思っても、部下は「10」とか「20」程度の行動しか自主的にやらない。こういうことなのです。