エリザベス・テイラーの同世代でいえば、ポール・ニューマンが有名である。彼は、父親はユダヤ人だが、母親はカトリックなので、イスラエルの基準ではユダヤ人とはいいがたいが、本人はみずからをユダヤ人と認識しているという。

1960年にはイスラエル建国の苦難を描いた『栄光への脱出』(原題:Exodus)という映画で主演をつとめている(監督のオットー・プレミンジャーもユダヤ系)。この映画自体、かならずしもアラブ人を一方的に悪く描いているわけではないが、当時のアラブ諸国の基準からみれば、イスラエルの建国そのものが許されないので、ポール・ニューマンも反アラブということになる。

近年、アラブ諸国によるボイコットは機能不全に陥っている

かつてアラブ・ボイコット(イスラエル・ボイコットとも)と呼ばれるアラブ諸国による対イスラエルのボイコットが日本企業にも大きな影響を与えていたことがある。

中東戦争で劣勢に立たされたアラブ諸国は、イスラエルと取引を行った企業をブラックリストに載せ,その企業とはアラブ諸国が取引をしないとする政策を開始した。この政策は、のちにボイコット非対象企業であっても、ボイコット対象とされた企業の製品を使用した製品であれば、輸入禁止にされるなど強化された。

しかし、国際情勢の変化からこのボイコットは機能不全に陥っていった。最近ではBDS運動(Boycott, Divestment and Sanctions)として、より洗練されたかたちに進化したものの、西側諸国からの反発も強く、イスラエルに対する大きな圧力にはなっていない。

中東和平プロセスはまったく進まず、今年になってからアラブ首長国連邦(UAE)、バハレーン(バーレーン)、そしてスーダンといったアラブ諸国が相次いでイスラエルと国交正常化で合意する始末である。

むろん、イスラーム諸国のなかにはこうした流れに、パレスチナを置き去りにするものだと批判する声も出ているが、潮目はすでにイスラエルとの関係強化に向かっている。たとえイスラエル人が主演であっても、おそらくこの新しいクレオパトラ映画も、多くのアラブ諸国で上映されるのであろう。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます