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日本社会

可処分所得の減少と生活コストの上昇で「赤字家計」の世帯が増えている

2025年8月20日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

可処分所得と家計支出のクロス統計表も公表されているので、赤字の世帯の割合を出すこともできる。可処分所得が350~400万円(階級値375万円)で、月の家計支出が20~25万円(22.5万円)の世帯の場合、家計支出の年額が可処分所得に占める割合は、(22.5×12)/375=72.0%となる。この値が100%を超える場合、前者が後者を上回る「赤字」の世帯ということになる。

この表をもとに赤字世帯の数を出し、全世帯に占めるパーセンテージを計算した。<図2>は、各年代の結果を棒グラフにしたものだ。

newsweekjp20250820012717.png


どの年代でも赤字の世帯の割合が増えている。20代では、37.1%から46.2%と10ポイント近く上がっている。現在では、20代の世帯の半数近くが赤字だ。奨学金の返済も考慮したら、赤字の世帯の割合はもっと高くなる。6割ほどになるかもしれない。若いので貯蓄などないから、赤字分は親からの援助や借金で賄っているのだろう。

自由に使えるお金の減少と支出の増加で、最近では赤字の世帯が増え、国民の生活が苦しくなっていることが分かる。特に、若年層の生活が苦しい。結婚どころではなく、未婚化・少子化に歯止めがかからないわけだ。

食料品や生活必需品の消費税を軽減し、国民の支出を少なくするとともに、減税で可処分所得を増やすべきだ。自由に使えるお金が減っているのは、稼ぎの実額の減少よりも、税で持っていかれる割合が増加しているからだ。「社会保障の維持のため、減税はあり得ない」と口にする政治家もいるが、血税が適切な用途に使われているかは疑わしい。

先日の参院選で、与党は国民から厳しい審判を受けた。為すべきことが何かは、内心では分かっているはずだ。

<資料>
厚労省『国民生活基礎調査』

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