最新記事
気候変動

スキージャンプ髙梨沙羅と行くパラオ、気候変動危機の最前線に迫る【大統領インタビューも実現】

2024年11月11日(月)11時30分
※JICAトピックスより転載

「レンジャーはどのような調査を行なっているんですか?」という髙梨さんの質問に対し、「保護区内のマングローブの状態を把握し、健全な生態系を維持・管理していくために、マングローブの樹種や倒木の調査、幹の太さの測定などを行なっています」と板垣さん。

「マングローブは、熱帯雨林の3倍以上炭素を貯留することができると言われていて、気候変動対策としても非常に重要な生態系なんです。国際サンゴ礁センターとも連携して、エコツアーで子どもたちにマングローブエコシステムの面白さと重要さを伝える活動もしています」

newsweekjp20241107114744-d03df3529012c3f7d04b78e1c1f1b32db630aa79.jpg

(左)「マングローブ林にいるだけで癒されますね」と髙梨さん。板垣さんと一緒に初めてのカヤックに挑戦した(右)レンジャーの調査の様子。若いレンジャーも増えており、自分たちの土地や自然、マングローブについて学ぶことで、愛着を持って「守りたい」という意識が育まれているという

大統領へのインタビューが実現! パラオの脱炭素の取り組みとは?

これまで、気候変動の影響に適応するための取り組みをたどってきた髙梨さん。気候変動自体を緩和するための「脱炭素」の取り組みについても話を聞くため、スランゲル・S・ウィップス・ジュニア・パラオ大統領へのインタビューが実現しました。ここではそのインタビューの一部をご紹介します。

newsweekjp20241107115203-ea6d8b5c1a62dd23c67676a01768af1a2737160f.jpg髙梨さん 太平洋の島国であるパラオは気候変動の影響を特に受けやすいのかなと思いました。具体的にどのような影響が生じていますか?

ウィップス大統領 直接的な影響として、暴風雨と高潮が挙げられます。以前は来なかった大型台風で学校や家屋が破壊されており、高潮でもパラオの東海岸全体が被害を受けました。また、海面上昇によって、タロイモの生育地(湿地帯)に海水が入って塩害が生じています。さらに海水温上昇の影響で、クラゲと一緒に泳ぐことができる「ジェリーフィッシュレイク」のクラゲの数も減っています。

私たちは主要産業である観光に依存しており、また主食であるタロイモにも依存しています。嵐や高潮で破壊されるたびに再建しなければならないとなると、私たちの生活は後退してしまいます。

髙梨さん 聞くのも辛いお話です。パラオにとって脱炭素が重要な理由を改めて教えてください。

ウィップス大統領 私はいくつかのCOP(気候変動枠組条約締約国会議)に出席してきましたが、最初に出席したCOPで「(気候変動を傍観して)我々がゆっくり苦しみながら終わりを迎えるのなら、今終わらせるためにいっそ爆弾を落とせ」という声明を出しました。気候変動の影響は緩慢な「死」のようなものだからです。二酸化炭素の排出量を削減するために、再生可能エネルギーの使用や輸送エネルギーを使用しない地産地消の選択など、誰もが決断し、役割を果たすことが必要です。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、イラン攻撃継続へ 一時停止はエネルギー施設のみ

ワールド

豪・EUが貿易協定締結、重要鉱物の中国依存度低減へ

ワールド

イラン、イスラエルにミサイル攻撃 トランプ氏の「交

ワールド

パキスタン、大気汚染が世界最悪 PM2.5基準の1
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 9
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中