最新記事

プライド月間

1997年以降に新宿二丁目に集った「その他」はテックの恩恵を示す好例【プライド月間に知りたい話】

2022年6月18日(土)17時00分
川和田周

6月中は各国で様々なイベントが開催される ABHISHEK KUMAR SAH-iStock

<世界には「寛容」と言うにはまだまだ追いついていない場所がある。日本もそうだ>

アプリ経由でデートするのはかなり骨が折れる。トランスジェンダーであればなおのこと。気になる相手とライトに、意中の相手を誘って......異性を相手にするよりも、トランスジェンダーというだけで「普通じゃない」とか、謂れなき嫌悪に晒されることもある。

近年、出会い系サイトや「Tinder」などのデーティングアプリは、自分のセクシャリティーを示すパッチに「トランスジェンダー」を追加したが、それ以上特別な取り組みをしたかと言えば何もない。その点「Bumble」の方が良心的だ。

トランスジェンダーの人たちは気に入った相手にアプローチしても相手にされず、だからと言って他の選択肢もない状態だった。

いわゆるストレートの利用者ばかりのマッチングアプリでは、ユーザーは「レディボーイ(女装し男性を恋愛対象とする男性)」や「シーメール(おかま)」といった、言葉がよく使われるが、これらの用語はトランスコミュニティにおいては不快なものと見做される。

日本のネットコミュニティの先駆け

そもそも、「デーティングアプリ」の類は、同性愛コミュニティではだいぶ前から発達してきた。

大きな転機を迎えたのは1995年。Windows95が発売されてから徐々にコンピュータ、携帯電話が普及し、日本の同性愛コミュニティに「リアル」な変化をもたらした。

当時を知る人物は、日本でインターネットが普及し始めた頃、新宿二丁目には「新顔」が増えたと言う。

それまでは、自分の性別を自覚しない潜在的なトランスジェンダーやバイセクシャルといった「その他」の人々が2丁目に近寄るのは難しいことだったが、インターネットが浸透したことで「その他」が確実に増え、素の自分でいれるリアルな居場所を見つけた、と振り返る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱UFJFG社長に半沢氏が昇格、銀行頭取は大沢氏

ビジネス

午後3時のドルは154円後半、米雇用統計控え上値重

ワールド

インド総合PMI、12月は58.9に低下 10カ月

ビジネス

プライベートクレジット、来年デフォルト増加の恐れ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中