最新記事

資産形成

「日本だけが給料が上がらない問題」は「貯蓄好き」をやめる以外に解決策なし

TIME TO THINK ABOUT INVESTING

2022年4月15日(金)17時00分
酒井理恵(ライター)
資産形成イメージ

PHOTO ILLUSTRATION BY LOVELYDAY12/ISTOCK

投資よりも貯蓄することへの意識が日本では今も根強い。しかし、賃金が上がらない今こそ、投資・資産運用が不可欠である。

将来に向けた個人の資産形成を目的に、政府が「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げたのは2001年のこと。

だが、金融広報中央委員会が毎年発表する「家計の金融行動に関する世論調査」によると、全世帯の保有金融資産のうち、約5割を預貯金が占める。20年以上たった現在も、投資が私たちの生活に浸透しているとは言い難い。

しかし給料が右肩上がりに増える時代はとうに終わり、今後は個人が投資による資産形成の道を追求しなければならないことは明白だ。日本に投資が浸透しない理由として、日本人の金融リテラシーの低さが度々指摘される。

だが比較対象に挙げられる投資大国のアメリカは所得や教育の格差が激しいので、「平均で見れば必ずしも日本人の知識が劣っているとは言えない」と、投資理論を専門とする京都先端科学大学の加藤康之教授は語る。

日本とアメリカで何が違うのか。最大の差は自国株のパフォーマンスだ。

日経平均株価が1989年に記録した史上最高値をいまだ更新できない一方、アメリカの代表的な株価指数であるNYダウやS&P500種は過去30年で10倍以上も上昇。日本株に期待を見いだせず、近年は若者を中心に最初からアメリカ株を投資対象とする人が増えているという。

とはいえ、「長らくデフレが続いた日本では、あえて株式を買う必要はなかった」と、加藤は言う。

デフレ下では相対的にモノの価値が下がり、現金の価値が上がるからだ。だが、今後は長期的なインフレヘッジのため、投資に舵を切ることは避けられない時代となった。超低金利の銀行に現金を預けていても資産が目減りするのは明らかだ。では、手始めに何を行うべきか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米フェデックス、6─8月期利益が予想上回る コスト

ワールド

米下院議員、中国の希土類規制解除なければ航空機発着

ワールド

高市氏、午後2時半から自民総裁選政策で記者会見

ワールド

プーチン氏、コザク大統領府副長官を解任 長年の側近
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中