「日本だけが給料が上がらない問題」は「貯蓄好き」をやめる以外に解決策なし
TIME TO THINK ABOUT INVESTING
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投資よりも貯蓄することへの意識が日本では今も根強い。しかし、賃金が上がらない今こそ、投資・資産運用が不可欠である。
将来に向けた個人の資産形成を目的に、政府が「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げたのは2001年のこと。
だが、金融広報中央委員会が毎年発表する「家計の金融行動に関する世論調査」によると、全世帯の保有金融資産のうち、約5割を預貯金が占める。20年以上たった現在も、投資が私たちの生活に浸透しているとは言い難い。
しかし給料が右肩上がりに増える時代はとうに終わり、今後は個人が投資による資産形成の道を追求しなければならないことは明白だ。日本に投資が浸透しない理由として、日本人の金融リテラシーの低さが度々指摘される。
だが比較対象に挙げられる投資大国のアメリカは所得や教育の格差が激しいので、「平均で見れば必ずしも日本人の知識が劣っているとは言えない」と、投資理論を専門とする京都先端科学大学の加藤康之教授は語る。
日本とアメリカで何が違うのか。最大の差は自国株のパフォーマンスだ。
日経平均株価が1989年に記録した史上最高値をいまだ更新できない一方、アメリカの代表的な株価指数であるNYダウやS&P500種は過去30年で10倍以上も上昇。日本株に期待を見いだせず、近年は若者を中心に最初からアメリカ株を投資対象とする人が増えているという。
とはいえ、「長らくデフレが続いた日本では、あえて株式を買う必要はなかった」と、加藤は言う。
デフレ下では相対的にモノの価値が下がり、現金の価値が上がるからだ。だが、今後は長期的なインフレヘッジのため、投資に舵を切ることは避けられない時代となった。超低金利の銀行に現金を預けていても資産が目減りするのは明らかだ。では、手始めに何を行うべきか。