最新記事

コロナ禍の世界

アメリカ、コロナ拡大阻止で受刑者を釈放。わざと感染しようとする者も?

2020年5月14日(木)17時30分
安部かすみ

あえて回し飲みしたり、同じマスクを吸い込んだり....  LA Times-YouTube

<アメリカ国内各所の刑務所内では、感染拡大を阻止するため3月から釈放措置が取られているが、わざと感染しようとするかのような行動も見られた...>

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染が拡大する一方のアメリカでは、一般市民生活に加え、警察署、老人ホームや介護施設、刑務所、ホームレスシェルターなど、閉ざされた空間でのクラスター問題も深刻となっている。

特に刑務所やホームレスシェルターは衛生環境があまり良くない密室空間に大人数が密集するため、感染者数は増える一方だ。国内各所の刑務所内では、感染拡大を阻止するため3月から釈放措置が取られている。

同じマスクを顔まで持ってきて鼻で吸い込む...

こうした動きにつけこんで、わざと新型コロナに感染し刑務所から脱出しようとする者まで出てきている。2000人の受刑囚が収容されているカリフォルニ州の刑務所「ノースカウンティ矯正施設」では、何やら疑わしい行動が監視カメラに映されていた。

4月15日と26日、同刑務所内の共有スペースで、囚人の1人がインスタントコーヒーなどのために用意されている湯を給湯器からボトルに注ぎ、次々に囚人らで回し飲みをしている様子が確認された。また別の共有スペースでは、数名で同じマスクを顔まで持ってきて鼻で吸い込むような様子も映し出されていた。

そのうちの1つが撮影された日の翌16日、9人が体調不良を訴え、1週間後には30人の受刑囚が新型コロナの検査で陽性を示したことから、なぜ集団感染が起こったかを刑務所が調査し判明した。しかし、囚人にとっては軽はずみな行いだったようで、釈放されたのはそのうち2人だけだった。

この刑務所では4月15日、施設内で初の新型コロナの陽性患者が出ており、22日より隔離措置が始まっていた。

同州ロサンゼルス郡にある刑務所では通常、1万7000人から2万2000人ほどが収容されているが、新型コロナ感染者拡大による釈放措置により、5月11日の時点で刑務所内の人口は1万1723人にまで減らされている。その中で隔離環境に置かれている受刑囚は4500人にも上り、新型コロナに感染しているのは357人。この数は4月30日より3倍にも膨れ上がっているという。117人は回復している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中