最新記事

トランプ政権

米=メキシコ間の「国境の壁」試作品お目見え、トランプ公約実現に一歩

2017年10月24日(火)16時47分

10月23日、トランプ米大統領の就任から9カ月、重要選挙公約の実現に向けた具体策がようやくお目見えした。写真は「国境の壁」の試作品。サンディエゴ近郊の国境付近で撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

トランプ米大統領の就任から9カ月、重要選挙公約の実現に向けた具体策がようやくお目見えした。不法移民阻止のため、メキシコとの国境に築くとしていた「国境の壁」の試作品だ。

米サンディエゴにあるオタイ・メサ国境検問所から数キロ離れた地点に、高さ最大9メートルのコンクリートや鉄製の8種類の壁がそびえ立った。トランプ大統領は、カリフォルニア州からテキサス州まで、メキシコ国境の全区間沿いに建設すると公約している。

1カ月かけて建設された試作品が実際に採用されるかは分からない。米議会は、いまだ総額216億ドル(約2兆4000億円)に上る壁建設費用の予算計上には消極的な構えを見せている。

米国境警備隊の担当者は23日、トランプ大統領の公約が動き始めたことを歓迎した。国境の壁建設は有権者の大きな支持を集め、大統領選勝利の要因の1つとなった。

「現在の設備は、設置から20年以上経過している」。国境警備局サンディエゴ支部の警備担当者ロイ・ビラリアル氏は記者団を案内しながらそう語った。「改修は必要だろうか。もちろん必要だ」

現在は、メキシコとの国境3058キロメートルのうち、1052キロメートルに1重もしくは2重、3重のフェンスが設置されている。サンディエゴにある高さ約5.5メートルの2重目のフェンスは、過去3年間で2000件近い侵入を許してきたという。

仮にトランプ大統領が壁建設予算を獲得できずに終わっても、国境警備隊は、老朽化した既存の壁を改修する際に、今回の壁デザインの一部を取り入れるかもしれないと、ビラリアル氏は付け加えた。

壁の試作品8種類の制作には、全米から選ばれた6業者が参加。試作品は、今週すべて完成する見通しだ。

うま味のある今回の契約を勝ち取ろうと、参加業者は壁の美観に注意を払っている。試作品の1つには真っ青な鉄鋼が使われ、別の壁は表面がレンガで覆われている。ベトナム戦争で余った波型の鉄鋼板を使って作られた、この地区に現存するぼろぼろのフェンスとは、対照的だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中