最新記事

セックス

米スマート・バイブレーターはどこまで賢いか

2017年8月18日(金)18時00分
アビゲイル・ジョーンズ

米ライオネス社のバイブレーターは、オーガズムのデータをスマホに取り込む機能付き Lioness

<アメリカで続々と発売されるハイテク・バイブレーターはオーガズムをグラフやアニメ化してくれるが、快感が置き去りになるという声も>

リズ・クリンガー(29)はバッグに手を入れると、4年越しで開発したバイブレーターを取り出した。淡いグレーで先端が丸くなっており、下側には女性のクリトリス(陰核)を刺激する突起が付いている。使いやすさを追及した持ち手部分には、触るだけで簡単に違いが分かる2つのボタンがある。「私たちはこれを、好奇心旺盛な人のためのバイブレーターと呼んでいる」とクリンガーは言う。「デザインはあえて一般的なバイブレーターに近づけたが、使用後にスマホのアプリでデータを見られるのが特徴だ」

クリンガーと筆者はニューヨーク・マンハッタンの中心部にあるコワーキングスペースのソファに座っていた。周りにいたのは男性ばかり。真後ろにいる人は、「シンクポッド」(個室ブース席)で背中を丸めてノートパソコンに向かっていた。他にも数組のグループが木製の長机の周りにいた。私たちはバイブレーターを持っていたので、彼らが時折こちらの方へ視線を向けるのはもっともだった。

「これがオーガズムのグラフよ」

クリンガーは周囲の視線を気にしない。彼女は米スタートアップ企業、ライオネス社(Lioness)のCEO(最高経営責任者)兼共同設立者だ。本人曰く「世界で最もスマートなバイブレーター」であるライオネスは、基本的にはヴァギナ(女性の膣)の健康状態をトラッキングするものだ。価格は229ドル(送料別)で、4種類のセンサー──膣を締める骨盤底筋の測定用が2つ、体温測定用が1つ、動き測定用が1つ──が内蔵されている。使用後に測定したデータをアプリに蓄積することで、女性は自分のオーガズム(性的絶頂)のパターンを学び、パートナーとのコミュニケーションに役立てることができるという。

lioness02.jpg
(中央が、スマート・バイブレーターのライオネス社を立ち上げたクリンガー)

クリンガーはiPhoneを片手に「これがオーガズムよ!」と言い、アプリのグラフ上で最も長い縦軸が連続した部分を指した。「このグラフは秒単位で骨盤底筋の動きを測定したもの。使用するたびにデータが蓄積されるので、オーガズムに達する時の大まかなパターンを掴める」。

【参考記事】セックスとドラッグと、クラシック音楽界の構造的欠陥

アプリはユーザーのオーガズムをアニメーションで示し(〇が拡大と縮小を繰り返す)、セックス日記もつけられる。同じようなオーガズムのパターンをもつユーザーの経験をもとに、アプリがバイブレーターのより効果的な使い方も教えてくれる(同社のプレスリリースには、「このオーガズムのパターンを持つユーザーは、ライオネスを上に傾けて使用すると快感を得やすいと言っている」などの提案例が紹介されている)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ政権、対中テック規制を棚上げ 米中首脳会談

ビジネス

仏サノフィ、ハドソンCEOを解任 後任に独メルクの

ビジネス

英GDP、第4四半期は前期比0.1%増 通年は1.

ビジネス

〔情報BOX〕主要企業の想定為替レート一覧
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 7
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 10
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中